みんなシカクイ
四角い空を見ていた。
日曜日の夕方、残り少ない余暇を楽しむ人
その中を抜け出し、帰宅するとシチューの匂いがした。
食事をし、風呂に入り、ベッドに入った。
まばたきをすると、朝だった。
一階のキッチンにいる妻からのメールで目を覚ます。
「おはよう」というメールを見て、三階の寝室で「起きたよ」と返信し、身支度をし、いそいそとパンを食べ、いそいそと会社へ向かう。
四角い定期券で、四角い電車に乗ると、四角い人たちがいた。ラッシュ時のごみごみした車内は、四角い人たちが、ソリティアのようにきれいに納まっていた。
私がその中に入ると、きれいに整頓されていた四角い人たちが崩れて、誰かのおなかの角がドアに挟まれたりしてしまった。
「車内、混みあいまして、大変ご迷惑をおかけしております。ドア付近の方は、角がはみ出さぬよう、ご注意願います」
周囲の人たちは、ちらちらと横目で私のことを見てくる。
皆一様に、四角い顔に、四角い体、四角い目をしている。
コトコトと電車が動き出した。
揺れると、四角い人たちの体がぶつかるが、見た目よりも意外と人間らしいぷにょぷにょ感と、温かさがあって、なんだか安心した。
電車が停まり、降りる人たちを見ていると丸みを帯びてくる人もいた。
私は、思わず、自分の体を確かめた。
やはり、角はない。
四角くなりたいわけでもないが、周囲が皆四角いと一人だけ違うことに不安を覚えてしまうのだ。




