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ワールドオーダー  作者: 河和時久
旅立ち編
4/70

04:魔物

「そろそろ昼だからどっかで飯でも食っていくか」


「金もってないから奢ってくれ」


「わかってるよ」


 おっちゃんはなんだかんだですげえいいやつだ。人がいいにも程があるだろ。悪いやつに騙されないかが心配だ。俺みたいなやつに。


「ラピのステーキ2人前」


 おっちゃんが頼むとかなりボリュームのあるステーキがでてきた。しかし……


「おっちゃんこの針なんだ?」


 いっしょにでてきたのはナイフとアイスピックのような針。


「なにってこれで押さえて肉をナイフできってこいつで突きさして食べるんだよ。おまえんとこにはなかったのか?」


 まさかの食器宣言。この世界にはフォークというものはないらしい。おっちゃんが知らないだけであるのかもしれないが、少なくともこの街にはないんだろう。


「おれの国じゃ箸っていって木の2本の棒を使って食事してたな。そういうナイフとか使う場合はそんな針みたいなのじゃなくてフォークっていう先が分かれてるスプーンみたいなのを使ってた」


「へー便利そうだな」


「そいえばいくつかリュックに入ってたな。おっちゃん家に帰ったとき見せてやるよ」


「おう、そりゃ楽しみだな」


 そんなことを話しながらステーキを食ってみた。


「なかなかうまいな。なんだろう……牛でも豚でもない……鯨っぽい味だな」


「鯨ってなんだ?」


「海にいるこの店3軒分くらいの大きな魚」


「なんだそりゃ! 海にそんなのいんのか!?」


「まぁ正確には魚じゃないんだけどね。この世界にもいるかは知らん」


「海龍みたいなもんか」


「龍とかいんの!?」


 なにその男心をくすぐる単語。


「そりゃいるさ。まぁ大抵は魔物扱いの知識もない獣だが、希に知能も高くて人語を理解する龍もいる。ちなみに海龍は凶暴で有名なんだ。縄張りに近づいただけで船が何隻も沈められてるって話だ」


 それはおっかない。いわゆるシーサーペントというやつなんだろうか。


「ところでこのラピってのはなんだ?」


「ラピはこの辺り一帯に生息してる動物だ。額に小さな角があって危険が迫るとそれを使って襲ってくる

んだが基本的に無害だな。草しか食わないし。初心者ハンターの狩りの練習がてらの金稼ぎによく使われてる」


「へーそんなのいるんだ。魔物とは違うのか?」


「魔物ってのは魔石を持ってて基本的に人間を襲ってくるやつの総称として使ってるんだ。まぁたまに襲ってこないやつもいるけど、魔石を持ってるやつは大抵魔物って呼んでるな」


「魔石? 体の中に石でもあんの?」


「ああ、魔力を帯びた石を体内に持ってるんだ。それが体内にあると外にある魔力を求めるようになるらしいんだ。人間は大抵少なからず魔力を持ってるせいで魔物からよく狙われるんだ。普通の人間は他の魔物達より弱いからな」


「じゃあ魔物が魔物を襲うようなこともあんのか?」


「ああ、大抵同族でもないかぎり魔物同士で仲良くしてるなんてことはないな」


「あれ? 昔徒党を組んでこの国襲ってきたとかいってなかったっけ?」


「あれ? そいえばそうだな。なんでだ?」


「俺に聞くなよ!?」


 徒党を組んで襲ってきたのが事実だとしたら群れを統べるやつがいたということだろう。ウルフとかの種族ではなく魔物という一つの大きな種族として。操っていたのかは分からないが。そうでもないと移動中に餌もないのにはるか東の森からこんな王都まで群れで移動なんてしてこれるわけがない。


「あれ? 俺が倒したウルフって魔石なんてあったっけ?」


「魔石は体内にあるからな。死んだからってでてくるわけじゃないんで捌かないと取りだせんぞ?」


「あーそういうことか。魔石は売れるのか?」


「ああ、ギルドで買い取ってくれる」


「魔石ってなんか使い道あんの?」


「魔道具の動力源に使うんだ。火をおこしたり水を出したりと万能だな。魔力がきれたら石を取り替えればいいし」


 バッテリーみたいなものか。魔石を電池代わりにしてるとしても水だしたりとかなんでもありだなこの世界。


「ちなみにフォレストウルフの魔石は4級だ。魔石は大きさで魔力がきまっててそれぞれに等級がきまってるんだ」


 ちなみに一番上が特級でそこから1~5級となるらしい。特級が手に入ったら一生遊んで暮らせる金になるらしい。まさに一攫千金。


「特級ってどんなやつが持ってんの?」


「上位の龍種だろうな。っていっても俺もみたことないけどな。1級なら現役の頃に1回だけみたことがあるぜ」


「へーその1級のは何からとったんだ?」


「飛龍だよ。当時この辺りを荒らしてた飛龍でな。12人のハンターで合同で倒したんだ。ちなみにそのメンバーに俺もいたんだぜ」


「ほう、ただの髭もじゃとおもってたけど、おっちゃんも意外とやるな」


「おまえの中での俺はどんな存在なんだ」


「熊?」


「だれが熊だ!」


「しっかし龍に弓なんて通じるのか? 鱗で全部弾かれる気がするんだけど」


「ああ、魔法の矢を使ったからな。魔力を付与した矢で、そりゃあもう高価で滅多につかえないんだが、そのときは国の一大事ってことで、ギルドが支給してくれてな、いやぁまた使いたいなぁあれ。あの龍の堅い鱗にさくって、紙にでもささるように突き刺さるんだぜ?気持ちよかったなぁ」


「へー武器に魔力の付与なんてできるのか。なんかすごそうだな」


「伝説の武器とかアーティファクトなんて呼ばれてる武器なんかはどれもみんなとんでもない魔力をもってるぞ。俺も1つしかみたことないが」


 アーティファクト! なにそのオズトロヤ城に籠もりたくなるような響き! 糞シーフ俺のAFとるんじゃねぇ糞が! って言われてた頃が懐かしい。


 やっぱりこの世界にもお約束な伝説の武器防具があるのか。やっべ超ほしいかも。


「それって誰がもってんの?」


「大抵は国が所持しているか金ランクのハンターが持ってるな。といっても金ランク全員が持ってるわけじゃないが」


 やっぱりなかなか手に入らなそうだ。普通に聞いてたけど金ランクってのはたぶん一番上のハンターランクのことなんだろう。なんの説明も聞いてないけどこの後どうせギルドで聞かされるだろうからスルーしておこう。


 そんなこんなで食事も終わり俺たちはギルドへと向かった。



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