4話「保護の来訪者」
まず二名の異世界からの来訪者が私のスキルが発動しているマンションに入居した。
妖怪のような存在──狐と女郎蜘蛛の二名だった。
(人間と同等以上の知能を持つ存在には、“一匹”などの呼称を使うと人権侵害にあたるらしく、半年前から“人”や“名”を使うよう統一されたらしい。)
二人は異世界で夫婦になったことで迫害を受け、精神的にも肉体的にも深く傷ついており、こちらで保護対象となった。
私が初めて見た時、狐の毛皮はボロボロで、あちこちに巻かれた包帯から血が滲んでいた。
その狐を抱きしめていたのは、着物姿の可愛らしい少女の姿をした女郎蜘蛛。彼女の頭や手など、見える部分にも痛々しい傷があった。
二人は私に怯えていたが、彼らを診ていた獣医さんが、
「ここは安全なので誰も貴方達を追ってまで入り込めません。もう大丈夫ですよ。この方がいる限り害意ある物は何ぴたりとも入ってこれませんので」
そう言うとまずは二人だけに綺麗にした部屋に居させて、その後世話してあげることになった。まずは鍵の掛け方とインターフォンの使い方を優しく獣医さんが教えていた。獣医さん、穏やかでこういう来訪者達に好かれそうな雰囲気してるから役所の主治医専門の窓口になっているのだろう。役所でもきつい人もいるから、優しい人や穏やかな人を人選して選出してるとも聞いた。最近だと性格まで分かるらしく、AIを使って選出してるのだとか。
半年経った今も人の手が足りないので、ひとまず色々調べた上の来訪者を雇用し、運用が上手くいったら来訪者を一般的に雇用していくのだとか。今の所、うまくいっているようなので、他の職種でも有用な来訪者は雇用していくのだとか。
だとしたら、この地域も来訪者一帯地区になるんだろうか?
それはそれで怖いような……。
私は狐のツクモさんと、女郎蜘蛛のナラサさんを世話していくことになったけれど……果たして、うまくやっていけるのだろうか。
私が上手くいかなければ、後のセーフティネットのスキル持ちの雇用価値観も決まってしまう気がした。




