僕の心に春一番
掲載日:2026/02/04
僕の心に、春一番が吹き込んだ。高校の入学式のあの日──君を見たその瞬間に。
桜並木の下を、まだしわ一つないセーラー服を着て歩く君の姿は、まるで春一番を運んでくる妖精のようであった。
「おはよう」。この一言で君は、僕の心を魅了したのだ。
「君も、入学生?」
「あ、うん。もしかして、そっちも?」
「ええ。もしかしたら、同じクラスになるかもね♪」
笑顔が、太陽のように眩しかった。
──これが、恋か。人生で味わった事のない不思議な感覚に、思わず空いた口が塞がらなくなった。
「……? どうしたの、そんなにボーっとして?」
「──んぇ、あぁごめん。少しボーっとしてた」
こんな他愛もないやり取りが、僕に高揚感を与えてくれる。自然と頬が火照り始め、彼女を見ている事が出来なくなってくる。
すると突然、手に何か暖かいものが触れた。それが何かは言うまでもない。
「──ほら、行こっ?」
彼女からのお誘いを断る男など、果たしてこの世に存在するのだろうか。
僕は彼女に手を引かれ、校門を潜ったのだった。




