91.紫の宝珠に宿る記憶
~記憶晶の中、二人だけの異世界~
銀河の涙のように、空間は透き通っていた。
私は彼女――龍香・絶美と共に、記憶の結晶で織られた部屋に座っていた。
言葉は交わさず、ただ星の光が肌を撫でる音を聴いていた――まるで宇宙の指先が、愛し合う者の身体を優しく撫でているように。
私の手の中、紫晶が淡く光る。
それはただの石ではない――それは、魂だった。
かつて愛し、裏切られ、それでも世界を救おうとした者の魂。
そして、その世界に奈落へと突き落とされた者の記憶。
彼女は肩を預けてきた。
その心音は、いつもの軽やかさではなく、どこか、哀しみを宿していた。
まるで、晶の中の見知らぬ魂の痛みを代わりに抱えているかのように。
私は静かに囁いた。
> 「――見るんだ。誰も再生しようとしなかった、記憶を。」
「天神でありながら、地獄へ堕とされた者の…記憶。」
紫晶を目の前に掲げる。
すると、紫の光が蛇のように空間を走り、暗闇を裂き、私の魂の古傷までも切り裂いてゆく。
> 「彼の名は――善夢だった。」
龍香は顔を上げた。
その瞳は澄んでいながら、底の見えない氷の湖のようだった。
吐息が私の首筋をかすめながら、彼女は囁いた。
> 「母上から聞いたことある…」
「彼は、天界一の美しい上神だった、と。」
私は笑った。
そして、彼女の腰を撫でる指先が、白くなめらかな背中の曲線をなぞる。
> 「…焼きもちだぞ。だが――続きを見ようか。」
記憶が、潮のように溢れた。
目の前に広がるのは天景――
善夢が無憂殿の中心に立ち、白衣が月風に揺れ、その瞳はまるで満月に映る雪山のような美しさと冷たさ。
彼は、泣き叫ぶ幼き魔王をかばうため、アスラの刃を両腕で受け止めていた。
龍香は私の手をそっと握り締めた。
> 「彼は…万霊の兄だった。」
「それなのに、同胞により封印されてしまったなんて…」
私は応えず、ただ見ていた。
そして、次の記憶で、私は見た――
彼が、紅い花畑の中央で膝を折り、口から溢れた血が花弁を染め、
唯一愛した女が、『背信者に恋した罪』で焼かれる光景をただ、黙って見ていた。
> 「…もし俺が彼だったら――」
「――同じように魔になる。」
龍香は私を見つめ、紅く染まる唇をほんの少し、微笑ませた。
> 「よかった、貴方は私に出会ってくれた。」
「さもなければ、今ごろ“魔龍”になっていたでしょうね。」
私は彼女の首筋に唇を落とした。
それは戯れではない――刻印だった。
“まだ人間でいられる”という、彼女が与えてくれた証。
> 「ああ…君のおかげで、俺は人でいられる。」
記憶は続いた。
封印の瞬間――数百の神鎖が善夢の身体を縛る。
彼は泣かなかった。ただ空を仰いで、血の涙を流しながら、笑った。
その時――
龍香は震え、私の膝の上に乗った。
両脚で私の腰を抱くように絡め、その姿は、あまりに密だった。
> 「…あなた…」
「この記憶は、心は凍るのに…身体が、熱くなるの。」
理由は聞かなかった。
知っていた。
運命の暴力が、彼女の中の“本能”を目覚めさせたのだ。
私を求め、閉じ込め、ひとつになろうとする渇望を。
私は太腿から腰へ指を這わせ、細い腰を軽く押すと、
薄絹のような襦袢が白い胸元から滑り落ちた。
そこへ唇を重ねる。いや、唇以上に、“記憶の痛み”ごと捧げるように。
> 「あの運命を、繰り返させはしない。」
「我らは、最後まで愛し合う。」
その言葉は、呪文のように彼女の心に沁みた。
彼女の手が私の間に滑り込み、私を掴む。
彼女はもう言葉を発せず、ただ荒く呼吸するだけ。
そしてゆっくりと私を受け入れた。
まるで神剣を呑み込む聖泉のように、ぴったりと絡みつき、温かく、濡れ、震える。
私を逃がさぬように――魂ごと飲み込もうとしている。
> 「…もう、見たくない。」
「私は、私だけの記憶を…貴方と生きたいの。」
私は応えず、彼女を雲のような寝台に倒した。
彼女は身を反らし、両手で私の頭を抱き締めた。
私はただ、深く、ゆっくりと、感情に従って揺れた。
紫晶の光はまだ灯っていた。
だがそれはもう“背景”だった。
この瞬間に主役なのは――
神とその妻が、魂で交わるこの行為。
吐息、呻き、名を呼び合う声、それだけがすべてだった。
彼女は泣いた。
愛しながら、涙をこぼした。
その涙は私の胸を伝い、へそを越え、交わる場所まで流れていった。
> 「天龍さま…」
「来世に貴方がいないなら、私は輪廻を壊してでも、探しに行くわ。」
その言葉のたび、私はさらに深く沈んだ。
優しさを超えた、純粋な執着と愛に――私も抗えなかった。
私たちは、生命も死もない頂へたどり着いた。
それはまるで、世界の終焉後に差す“最初の光”のように、純粋な快楽だけの場所。
私は彼女を抱き締める。
まるで、誰にも消せない記憶を抱えるように。
彼女は喘ぎながら、唇を震わせた。
> 「もう…もう、あなたから離れられないわ…」
身体を重ね合いながら、
紫晶の光は静かに消えた。
記憶の映像は終わった。
けれど、私たちの身体――熱く、濡れ、重なったままの今――が新たな記憶を刻み始めていた。
それはまだ誰にも語られていない、一つの章。
“魔にならずに済んだ、ただ一つの理由”の物語だった。
水晶のような紫の玉は、まだ光っていた。
天界すら忘れた記憶——
触れるだけで、天の理すら震えるような禁忌の断片。
私は彼女を抱きしめたまま、黙ってそれを見つめていた。
──愛してはいけない存在を、愛してしまった記憶。
優しく、そして、残酷すぎる記憶。
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「雷天将・レイシンジョウム…」
名を呼んだ瞬間、胸が締めつけられる。
子供の頃から聞いた伝説の神将——
雷と共に現れ、邪霊を一掃する天界最強の男。
だが、玉の中に映る彼は、
ただの恋する少年だった。
桃の木の下、花を抱き、
笑顔一つで世界を捨てる覚悟を持った、
一人の、恋する神。
> 「彼女が微笑めば、雷すら沈む」
「彼女が振り返れば、天地すら否定できる」
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彼が愛したのは——
ただの花を育てる仙女、「ト・エンニ」。
水面に指を浸しながら、彼女はこう囁いた:
> 「貴方の威厳は天地を震わせる…」
「でも…その眼差しは、春の露よりも優しい。」
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彼女の言葉に、
腕の中の龍香が微笑んだ。
顎を撫でながら、問いかける。
> 「もし私があの娘だったら…」
「貴方は、天の理を壊せますか?」
私は答えなかった。
ただ、そっと襟元に手を入れ、
ゆっくりと薄絹を落としていく。
花びらが散るように。
> 「理など、壊す必要はない。」
「俺は最初から従う気など、ない。」
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彼女は笑った。
裸の肌が密着し、柔らかく、
桃の香りをまとった雲のような身体が溶け込んでくる。
> 「夫様…」
「私を抱いて…」
「あの時、彼が最後に願ったように…」
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私は彼女を銀の雲に倒した。
紫の光に照らされる曲線。
それは神ではない、
神を愛されるために生まれた女の形。
首から胸元、
そして閉じた腿の間へと指を滑らせながら囁いた:
> 「もし俺が誰かを愛すると決めたら——」
「その人を、意識を失うほど愛すと決めている。」
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私は彼女の全てに口づけを落とした。
唇ではなく、魂で触れるように。
呼吸が荒くなり、
一つ一つの接触に、彼女の体は小さく震えた。
そして、私はゆっくりと、
深く彼女の中へ入っていった。
快楽ではない。
これは——反抗。
天命への反旗。
罪ではなく、誓い。
> 「ああっ… テンロン… もっと…」
「思考なんて奪って…もう何も考えたくないの…」
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彼女は脚を絡め、私を逃さない。
響くのは、淫猥でないが、本能に響く音。
喘ぎ、濡れた肌の衝突、息の交錯——
まるで、原始の交響曲。
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私は止まれない。
彼女の中は、熱く、柔らかく、
だが離れようとすれば、ぎゅっと締め付けられる。
まるで「離さない」と言っているように。
> 「絶対に…手放さない。」
「この空を焼き尽くしてでも。」
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彼女を裏返し、腰を引き寄せる。
彼女は拒まない。
弓なりに身体を反らし、髪を前に垂らし、
腰を上げて、私を待っていた。
背後から、深く、激しく突き上げる。
> 「あああっ… 強すぎる…でも止めないで…」
「壊して…壊れるくらい…私を…!」
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彼女の願い通り、
私は何度も、深く貫き、
そのたびに、柔らかく尻を叩く。
それは痛みではない——
愛の刻印。
> 「理など、俺には無意味だ。」
「俺は、ただ一人の狂った愛の神。」
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彼女は絶頂の瞬間、涙をこぼした。
その涙は痛みではなく、
歓喜。満足。そして…愛。
私が抜けた瞬間、
彼女の中から、白濁が溢れた。
温かく、粘り気を持ち、
二人が一つになった証。
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言葉は不要だった。
汗ばんだ肌が絡み合い、
まるで離れたくないように、
二人はただ抱きしめ合った。
> 「ずっと…貴方を中に閉じ込めておきたい…」
私は彼女の額にキスしながら、静かに言った。
> 「この世界が敵でもいい。」
「君が、今のように、俺を求める限り。」
---
玉の光が最後に映し出したものは、
雷に打たれながらも、
最後の瞬間までキスを交わした二人。
私は囁いた:
> 「トウモウは、間違ってなどいない。」
「彼はただ…誰よりも強く愛していただけ。」
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私は彼女の腹にそっと口づけた。
> 「ここにはもう…俺の命が満ちている、だろう?」
「灰の中の炎 ― 闇はまだ去らず」
月の光のように裸の彼女を抱きしめたまま、俺は冷たい鏡の湖のほとりに沈んでいた。
体内に深く注ぎ込まれた俺の精と唇の痕が、まだ彼女の肌に残っている。
交わりの匂いが部屋に満ち、朝靄のように重く漂っていた。
太ももに垂れた白濁は、まだ熱を帯びたまま彼女の奥から溢れ出し、透明な蜜と混じって神聖な痕跡となり流れ落ちる。
彼女は短く震える息を吐き、まるで自分の鼓動から逃れるように胸を上下させていた。
紫の宝珠はまだ回り続ける。
記憶の深層へと、俺を引き込むように――
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俺は見た。
彼――雷善長夢の姿を。
雷府の中央に立ち尽くす、かつての青衣は裂け、長い髪が背中に絡まり、あの誇り高い眼差しは、今は虚ろな闇だけを湛えていた。
周囲を囲む神兵たちが罵る。
> 「女のために、神路すら燃やすか――」
「貴様は神じゃない。ただの発情した雄だ!」
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拳を握り締めた。
龍香が俺の膝の上で身を起こし、脚を広げて俺の腰を締めつける。
もう快楽のためではない。
俺の鼓動を感じるため、俺という存在を確かめるように。
胸を押しつけ、硬くなった乳首が冷気と感情に反応して震える。
> 「ねえ、旦那様……」
「あなたもいつか、彼のように…私のために、魔になれるの…?」
---
俺は彼女をそっと寝かせ、脚を引き寄せて大きく開かせた。
まだ濡れているそこへ、自分の先端をあてがい、熱を押し当てる。
> 「もし魔になることで、お前を守れるなら――」
「俺は、喜んで堕ちる。」
---
一突き。
雷鳴が空を裂くように、俺は彼女の奥へと打ち込む。
彼女は喉を詰まらせるように喘ぎ、爪で俺の背中を引っかく。
けれど、その瞳は陶酔に霞み、俺だけを見ていた。
腰をずらし、角度を変え、敏感な場所を狙って突くと――
体が跳ね、痙攣し、彼女の口から声が漏れる。
> 「あっ…そこ……だめ…旦那様…お願い…やめないで…」
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やめなかった。
擦りつけ、押しつぶし、ねじ込みながら、俺はまるで記憶の断片を彼女の奥から掘り出すように突き続けた。
それは彼女自身のものではなく、宝珠に刻まれた、別の男の…呪われた記憶。
---
突き上げるたびに、視界が歪む。
長夢の記憶が、俺の中に重なる。
> 砕けた魂を抱きしめる男の影。
雷印を焼き尽くす漆黒の炎。
黒雲に響く、悲哀の笑い声。
---
俺は彼女の耳元で囁く。
声は擦れ、震えていた。
> 「彼は、愛のために霊台を砕いた。」
「俺は、天命を壊してでも…お前に触れる者を許さない。」
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龍香は脚を絡め、爪を俺の腿に食い込ませた。
涙を流しながらも、俺の一突きをすべて受け入れ、絶望の中にある命のように震えていた。
> 「旦那様……もう…もう耐えられない……」
「あなたの下では…私はもう姫じゃない……私は、ただの……」
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俺は彼女の唇を深く塞ぎ、舌を絡めて魂ごと吸い取るように舐めた。
乳房を揉みしだき、初めて滲んだ白い蜜を指に受ける。甘く、温かい。
そして囁く。
> 「姫である必要なんてない。」
「お前はただ――俺の女であればいい。」
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俺は抜き取り、彼女を抱きかかえて立ち上がらせる。
脚を俺の腹に巻きつけさせ、背中を宝珠に押しつけるように向かせた。
紫の宝珠に掌を置かせると、過去が肉体に直接染み込んでくる。
そのまま、背後から一気に突き上げる。
> 「見ろ、龍香。」
「彼が魔と化すその瞬間を。そして…俺がそれを絶対に繰り返させない男だと感じろ!」
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宝珠の中、長夢が神門を破る。
血飛沫は紅蓮の花となり、天兵たちを斬っていく。
彼の叫びが響く。
> 「俺を『欲神』と呼ぶか――」
「ならば知れ。我が欲望は、支配ではなく、不滅のために在る!」
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俺はその言葉を、彼女の耳元で繰り返す。
一突きするたびに、彼女は一言ずつ呟く。まるで禁呪を唱えるように。
> 「愛は…枷…魔は…涙の残り香…」
---
彼女が震えた。
極限の収縮が襲い、絶頂が迫っていると知った。
俺は奥深く突き入れ、そのまま静止して――
熱い精を彼女の子宮へと注ぎ込む。
> 「あぁぁ…あ…深い…だめぇ…入ってくる…旦那様ぁ!!」
---
彼女は崩れ落ち、宝珠に額をつけて倒れ込んだ。
俺はその身体を引き寄せ、覆いかぶさりながら囁いた。
> 「愛は人を殺さない。」
「愛せぬ者だけが…恐ろしい。」
---
宝珠の最後の記憶が現れる。
沈黙の一幕。
混元魔祖が、陶燕児の遺影の前で微笑みながら言う。
> 「皆は俺を狂っていると言う。」
「だが…彼女のために狂えた時だけ、俺は本当に生きていた。」
---
俺は龍香の腹にそっと唇を押し当てた。
紅潮したその肌は、何度も俺に蹂躙された痕跡。
彼女は俺の膝に頭を乗せ、息も絶え絶えに微笑んだ。
> 「もし私が死んだら…あなたは天命を…壊してくれる?」
---
俺は答えなかった。
ただ、指を再び彼女の間に滑らせた。
腫れ上がったそこは、俺の精にまみれ、熱く濡れていた。
俺は唇で、指先で、そして愛に狂った本能で――
もう一度、彼女を貪り始めた。
「紫の残光 ― 静かなる前触れ」
紫の珠が何度も狂おしく回転し、ついに──ゆっくりと最後の余韻を震わせた。
まるで、苦痛に叫び尽くした恋人の魂が、深い眠りへと誘われるように。
記憶はそこで途切れる。
闇が静かに幕を下ろすように、一つの聖俗の劇が終わった。
俺は龍香を胸に抱きしめる。
裸の身体は柔らかく、まだ温もりと、数え切れぬ悦びの痕跡を残している。
二人とも、言葉はいらなかった。
---
> 「雷善長夢…」
「ヤツ…痛かったんだな。」
彼女の声はそよ風のように耳をくすぐる。 俺はただ胸を締め、この瞬間が再び暗い記憶から彼女を守るために。
──だが、どうして俺は自分の中の影から彼女を守れるのだろうか?
---
> 「旦那様…」
「もし、いつか…私もこの世界から追われるとしたら…」
「あなたは…私を見つけてくれる?」
俺はそっと彼女の下腹に手を置く。
そこには、子宮深くから三度も残した俺の印がある。
優しく触れて──口づけを捧げる。
まるで聖なる祈りを捧げる神殿のように。
> 「探さないよ。」
「もしお前が追われるなら──俺はお前を地獄の底まで連れていく。」
「そこにも・・・俺のベッドがあって、お前の身体があるから。」
---
彼女は微笑む。
夜に落ちる夜珠のような、やさしく軽やかな笑い。
その瞳は、喜びではなく“愛しすぎて失いたくない”という光を帯びていた。
俺はその瞳に耐えられず、再び両脚を開かせる。
赤く濡れ光り、未だ余韻を残す身体──
彼女は止めたりしない。
むしろ、目を閉じて、深く俺を迎え入れる。
---
> 「また…欲しいの?」
「疲れてないの…?」
俺は答えず、ゆっくり口づける。
へそから下腹へと舌を這わせ、
三角の柔らかな部分にたどり着く。
唇でその蜜をすくい、
舌を深く、この濡れた秘処へ滑り込ませた。
そして指先で最後の一点を捉える。
彼女は身をのけぞらせ、爪を布団に立てて、声を漏らす。
> 「ああ…そこ…もう濡れて…敏感すぎ…」
だが、俺は止まらない。 舌で、指で、
彼女の中で感じる熱とぬくもりを味わいながら。
---
俺は微笑み、軽く突き上げる。
湿った主張を受け止めるように――
そして、静かに体を重ねた。
> 「旦那様…ゆっくり…」
「今度は…あなたをしっかり…見る…」
俺は頷き、そのまま動きを止める。
体内で回転するだけ──
スピードもリズムもいらない。
ただお互いの鼓動を感じ合いながら、
魂が絡み合うように。
---
> 「綺麗だ…本当に……」
「珠の幻影が漂う中で、お前の瞳だけが俺を現実へ引き戻す…」
俺は優しく唇を重ね、
二人の鼓動がひとつになるのを感じた。
そして、そっとまた少しだけ、突き上げる。
---
> 「旦那様…深い…」
「今度は…外に出さないで…」
「全部…私の中に…留めて…」
俺はさらに強く深く突き、
全ての精を彼女の内へ注ぎ込む。
白濁の熱が、一度の震えとともに広がり、
彼女は俺を抱きしめながら、
小さな声で震える。
---
そして──静寂。
悦びは消え、
二つの身体がひとつに溶ける。
心臓は同じリズムで鼓動を打ち、
俺は彼女の額にキスを落とす。
> 「寝ろ。
明日も──また、生きるから。」
彼女は夢うつつに笑い、囁く。
> 「あなた…私のこと、夢に見る…?」
俺は答えず、
ただ、彼女を強く抱きしめ続ける。
---
外の紫の珠の光はすでに消えていた。
だが――暗闇の奥底、
その核の中で、ひとつの紫の小さな光が、
かすかに――瞬く。
どうやら──混元魔祖は、
まだそこで眠らず、
忘れ去られてはいないようだ。
---
──次章への予兆:
紫の光は再び、二人の未来を揺らし始める。
愛と狂気の境界が、再び姿を現す。




