50.夜の詰問、天龍が呼び出されたんだ
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雪の夜は降り続けていた。天と地がため息をつくように、静かに、静かに。
北の空にかかる厚い雲が月光を覆い隠し、朧げな光の下、突如として「ドンッ」と大音が響き渡った。
それは玄灯旅館の西棟全体を揺るがすほどの衝撃であった。
僧房からは、袈裟を身に纏った僧たちが続々と姿を現す。
提灯の灯火は冷たい風に揺らぎ、長く引き伸ばされた影が雪に染まる石畳に映し出される。
風鈴が鳴り交じる音が耳に残り、足音とざわめきが、夜を切り裂くように高まっていった。
先頭に立つのは、住職の釈慧深。齢六十を超える老僧でありながら、深遠な内功を保ち、目には稲妻のごとき鋭さを宿していた。
「ナムアミダブツ……」
その声はまるで銅鑼のように響く。
「真夜中にこの騒ぎ……ここは市場にでもなったのか?」
老僧の傍には、かつて江湖を風靡し、今は隠居して修行に励む古参の兄弟弟子たちが並ぶ。だがその目には、依然として油断の色が消えていない。
「誰か争っておるのか?」 「刺客でも現れたか?」 「いや…北の妖か……?」
石畳には、雪を踏む音がサラサラと鳴り響く。
提灯が高く掲げられ、その光が三人の人影を照らし出した。
— 黒い外套を纏い、仮面で顔の半分を隠す男。その目は闇を貫くほどに冷たい。
— 紫の絹衣を着た少女。顔を真っ赤に染め、手をもじもじと組み、何度も隣を盗み見ている。
— 青衣の女性。身をすぼめるように立ち、手は微かに震え、まるで強い衝撃を受けた直後のようだった。
「天龍……」
老僧の眉が寄る。目は黒衣の男に据えられた。
「一体何をしたのだ?」
天龍はすぐには答えなかった。
外套の裾が夜風に翻り、彼はゆっくりと一歩前に出る。
合掌し、低く重い声で語る。
「貧道、静座しておったところ、不意に誰かが押し入ってきた。
やむを得ず応じたところ、些か騒がせてしまったようだ。もし無礼があったのならば、どうかご容赦願いたい。」
その声には不思議な力があった。淡々としていながら、言葉の奥に押し寄せる波のような圧が潜んでいる。
聞く者は、自然と反論を飲み込んでしまう。
その言葉に混じる寒気すら感じた僧侶たちは、無意識のうちに半歩後退していた。
老僧が問いを重ねるより早く、少女が一歩前に出て、焦ったように口を開く。
「違うのです! あの……道長さまのせいではなくて……私が……」
「夜中に内功の修練をしていて、音を聞いて刺客かと思い込み……ちゃんと見もせずに、間違って攻撃してしまって……」
言い終えると、彼女の顔は火照り、目をしきりに瞬かせ、どこかに隠れたそうにしていた。
青衣の女性――**曇無双**も、頭を下げて小声で言った。
「こちらが……疑い深すぎたのです。どうかお許しを……」
老僧は静かに黙考する。
たしかに誤解だったのかもしれぬ。だが――あの衝撃の威力。
あれは常人の内力では決して出せぬもの。
彼の目は、再び天龍に注がれる。
— 仮面に覆われた神秘、揺らがぬ呼吸、破綻なき立ち居振る舞い、そして…深淵のように冷たい眼差し。
「そなた、何処から来た?」
「この世のどこからともなく来た者にて、心を留める場所は無し。」
天龍はまばたき一つせずに答える。
「では、どの門派の出か?」
「我、門派を持たず。心のままに行き、救う者を救い、討つべき者を討つのみ。」
老僧の眉がさらに険しくなる。
この答え――自由であるが故に、同時に危うい。
「討つべき者を討つ」と平然と言える者こそ、最も侮れぬ。
だが、老僧はやがて袖を収め、低く念じた。
「南無阿弥陀仏。……夜も更けた。これ以上の詮索はよそう。
善哉、善哉。そなたも慎まれよ。もし再びこのようなことがあれば、拙僧も黙ってはおらぬ。」
その目は一同を一瞥し、山のように威厳を放つ。
「皆、下がれ。」
僧たちは一斉に従い、散ってゆく。
夜風が回廊を吹き抜け、**趙玉**の額にかかる髪を揺らした。
彼女はそっと息をつき、天龍に視線を送りかけて……言いかけて、やめた。
手は袖口をぎゅっと握りしめている。
天龍は何も言わず、軽く頷いて背を向けた。
月光の下、外套の裾が石畳に長く引き伸ばされる。
その姿は、白雪と静寂の中、まるで俗世を離れた幽影のようであった。
曇無双はその背に目を向けながら、唇を震わせてつぶやく。
「……あの方、ただ者ではない……」
趙玉は隣で、自らの胸元にそっと手を当てた――
さっきの衝突で、まだ鼓動が激しく揺れている。
その胸の奥に浮かぶ疑問を、言葉にできぬまま、ただそっと呟いた。
「……やっぱり、私たち……迷惑をかけちゃったのね……」
誰も応えなかった。
再び、夜は静寂に包まれた。
雪だけが降り続け、石畳には、まだ消えぬ足跡が残されていた――。
その夜、雪はなおも降りやまず、月の光は雲の向こうにぼんやりとかすみ、客舎の瓦屋根を静かなる闇が包み込んでいた。
小さな部屋の中では、揺れる蝋燭の灯が微かに震え、まるで沈黙の中に身を潜める者の心そのもののようだった。
天龍は胡座をかき、印を結びながら、さきほどの騒動で消耗した真気の回復に努めていた。だが――
背後から、かすかな息遣いが響いた。
彼は振り返らず、淡々と問いかけた。
> 「まだ部屋に戻っていないのか?」
その声に応えたのは、夜露のように静かで、しかしどこか迷いと夢幻を含んだ声。
> 「眠れないの… 真気が乱れて、心が落ち着かない… 貴方の傍にいるときだけ、安らげる気がするの。」
天龍は沈黙を保った。拒まず、否定もせず。
ふいに、温かな気配が彼の背に寄り添った。
曾無双――彼女はいつの間にか、そっと腰を下ろしていた。
髪は解かれ、梅の香がほのかに鼻先をかすめ、彼の心を微かに揺さぶる。
> 「貴方は二度も私を救い、三手譲ってくれ、さらには多くの人の前で私の罪を被ってくれた…。
それで心が動かないなんて、私、自分に嘘をつくことになるわ。」
その声は、告白にも、恨みごとにも似ていた。
彼がまだ振り向かぬうちに、柔らかな腕が腰に回され、背後からしっかりと抱きしめられた。
> 「もう、黙っていないで… 今夜は、何も言わなくていいの… ただ…私を近づけて。」
その一言一言が、蝶の羽ばたきのように繊細でありながら、芯には決意を秘めていた。
天龍の重厚な外衣は、風に舞う枯葉のように脱ぎ落とされた。
外の冷気よりも、肌を伝うぬくもりの方が圧倒的に勝っていた。
彼は抗わず、ただ静かに目を閉じた。まるで、抗えぬ内傷に身を委ねる修行僧のように――
夜が、過ぎてゆく。
---
翌朝、淡い陽光が格子窓から差し込み、乱れた布団をそっと照らしていた。
曾無双は天龍の胸元に身を丸めるようにして眠っていた。
薄い衣が肩からずれ、陶器のように白い肌が光を帯びていた。
長い髪は乱れ、彼女の呼吸は微かに、そして疲れきった様子で動かなかった。
> 「昨日の夜…ちょっと強引すぎたかしら…」
――目を閉じたまま彼女は微笑み、天龍の衣の裾をそっと握りしめる。
天龍は答えず、ただ小さく息を吐いて、彼女の髪を優しく撫でた。
しばらくして、彼女は夢見るように、か細く呟いた。
> 「もう…貴方の種を宿したわ。」
天龍の眉がぴくりと動いたが、問い返すより早く、曾無双は目を開けてにっこりと笑った。
> 「でも心配しないで。私には心に決めた人がいる。
帰ったら…この子は彼のものだって、そう伝えるから。」
その声は穏やかだったが、その瞳の奥には、複雑な霧が漂っていた――まるで、心の中の裂け目を隠すように。
天龍は再び何も言わなかった。言葉にしてはならぬものもあると、彼は知っていた。
曾無双は彼の胸に顔を埋め、囁いた。
> 「貴方が私を嫌っても構わない…でも、私はもう貴方のもの。」
静寂が、しばし空気を支配した。
ふいに、彼女は胸を抑え、顔をしかめた。
薄衣の中心に、ほんのりと湿った跡が浮かび上がる。
> 「…お乳よ。」――頬を染めつつも、どこか誇らしげな声で呟く。
> 「私の体質は特別なの…『玄陰回天経』を修めてから、気血が逆流しやすくて、こういう異変が時々起きるの…」
彼女はそれを隠そうとしたが、天龍はそっとその手を取って下ろした。
彼は言葉もなく、ただ静かに頭を垂れた。
それはまるで、罪を償う者のように――または、還俗を前に最後の供物を受ける修行僧のように。
曾無双の身体が小さく震え、手が微かに震え、そしてふいに息混じりの声が漏れる。
> 「や、やめて… それ以上は… 私、もう…我慢できない…」
しかし、もう遅かった。
呼吸が溶け合い、真気がぶつかり合い、
淡い光の中、二人はもはや修行者でも、凡人でもなかった。
水が水に溶けるように――その境界は、溶けて消えた。
外では、雪が静かに止んでいた。
だがこの部屋の中では、刀も拳も交えぬ、目に見えぬ戦いが続いていた。
心と、血と、そして名もなき葛藤による戦――
---
翌朝の客舎、淡い光が静かに廊下を照らし、遠くの山から吹き降ろす風が夜の寒さを引きずって、薄い暖簾をふわりと揺らしていた。
趙玉は、自室の前に立ち尽くしていた。
両手を組み、胸中は乱れていた。
一晩中眠れぬまま、彼女は不安に包まれていた。
半刻ほど前――聞き慣れた、しかし慎ましき足音が、廊下の奥、ある一室の前で止まったのだ。
その部屋は――天龍の部屋。
そっと閂の外れる音がした。
そして、出てきたのは――曾無双だった。
彼女の歩みはゆるやかで、ややぎこちない。
その目には薄ら笑みが浮かび、頬はほんのりと紅潮し、まるで温泉から上がったばかりのようだった。
髪は肩にかかり、衣の裾はわずかに乱れていた。
趙玉の眉がぴくりと動き、その瞳に影が落ちた。
> 「…貴女、彼の部屋から?」――落ち着こうとする声が、指先の震えを隠せなかった。
曾無双は立ち止まり、不思議なほど平然とした目で彼女を見返した。
> 「そうよ、私よ。」
「昨夜は風が強く、雪も激しくて…私はただ、少しの温もりを求めただけ。」
その一言は、風のように軽く――
だが、趙玉の胸を絹の鞭で打つように鋭く痛めつけた。
> 「…貴女、自分が何を言っているのかわかってるの?」――趙玉は歯を噛みしめる。
曾無双は目をそらさず、そっと彼女に近づき、ささやいた。
> 「私は…雪の夜に、彼の種を宿したの。
その芽はもう、私の中で春の息吹のように膨らんでいる…」
趙玉は一歩後ずさりし、顔が真っ白になった。だが、怒りを必死に抑えた。
> 「貴女…婚約者がいたはずでしょう? なのに、どうして…」
曾無双は、苦笑とも、投げやりともとれる笑みを浮かべた。
> 「そうよ、心を決めた人はいる。
けれど彼は、私に指一本触れたこともない…。
今なら、あの子は“彼の子”だと、そう言っても誰にも疑われない。
無主の種には、立派な器が要るもの。」
趙玉の身体が怒りに震える。
> 「そんな計算、恥ずかしくないの?」
曾無双は冷たく微笑み、目には誇りの色を宿した。
> 「何が恥かしいの?
この世で最も愚かなのは――
愛する者を守り切れぬ者よ。」
彼女はさらに近づき、趙玉の目をまっすぐ見据えた。
> 「私は天龍を手に入れた。――でも、私は去るわ。」
趙玉は息を呑んだ。
> 「…本気で?」
曾無双は静かに頷いた。
> 「昨夜、私はただ知りたかっただけ――
彼の“女”になるとは、どんなものか。
もう、それで充分。」
> 「愛しているの?」――趙玉の声はやや柔らぎ、だが視線はまだ揺れていた。
> 「いいえ。」――曾無双は答えた。
「私は彼を愛するほど勇気がない。
だって、天龍のような男を愛するというのは――
自分自身が焼き尽くされることを、覚悟することだから。」
彼女はひとつ後ずさりし、衣の裾を整えながら、まるで雪夜の風のように静かに言った。
> 「私は彼に痕を残すわ――
心の中の影、胸にかすかに残る爪痕として。
でもそれ以上は…貴女に託す。」
趙玉は何も言えなかった。ただ、そこに立ち尽くし、胸の中は千々に乱れた糸のようだった。
曾無双は去っていった。その歩みは、春の雨に濡れた木蓮の花のように、かすかに揺れながらも、どこまでも気高く。
趙玉は、その後ろ姿を見送った。
軒先から水滴がひとつ、ぽとりと落ちた。
彼女の心の中――それが怒りなのか、哀しみなのか、
あるいは、嫉妬の極みなのか――
もう、自分でもわからなかった。
その夕暮れ、林蒼の雪山には静かに吹雪が舞い、白き花のような雪片が絶え間なく降り注いだ。それはまるで、未だ届けられぬ手紙のごとく、ひっそりと大地を覆い、冷たくもどこか異様な美しさを放っていた。
天龍は老いた松の木の下、霧に包まれた姿で立っていた。外衣を羽織り、目は白くかすむ地平線の彼方を見つめる。微かに、馴染みのある足音が近づく。昨夜、沈みゆく闇の中で心に刻まれた、あの律動──
そこに現れたのは、曾無双。
彼女の唇は、氷雪の中に咲いた紅薔薇のように鮮やかだった。その一歩ごとに、足元の雪が溶けるような錯覚すら覚える。
> 「来たか。」
天龍は言った。声には波も色もなかったが、心は確かに揺れていた。
曾無双は彼の前に立ち、しばし何も言わず、やがて静かに息を吐く。白き吐息が雪の中に溶け込むように舞った。
> 「私の中に……いま、命が宿っている。あなたの血を引く命が。」
天龍は何も返さない。ただ、瞼を静かに伏せた。
> 「この子のこと……あなたに責任を負えとは言わない。わかってる、そんなこと言うのは卑怯かもしれない。でも──」
彼女は顔を上げ、真っすぐ彼の目を見据えた。
> 「でも、私は他に選択肢がなかった。婚約者は、優しいけれど、私を守る力もなければ、強き種を宿すこともできない。母になるのなら……せめてこの命には、誇り高き“龍の血”を受け継がせたかったの。」
天龍は彼女を見つめ、沈黙したまま、時の流れに溶け込んでいた。
曾無双は一歩、また一歩と近づく。彼女の吐息は、まるで百年の氷の下に眠る酒の香りのように、冷たくも甘やかだった。
> 「愛してくれとは言わない。でも……この瞬間だけは、どうか、すぐに終わらないで。」
彼女は彼の手を取った。細く、冷たい指。ためらうことなく、自らの衣の裾の奥へと彼の手を導く──そこは雪の中に沈む蜜のように、柔らかく、暖かく、そして春を迎えた禁断の果実のように張り詰めていた。
天龍の手は一瞬、止まった。しかし、引き戻すことはなかった。
> 「もう、あなたに触れられた場所なのよ。そんな無情な人でいないで……」
曾無双は囁いた。頬は紅潮していたが、瞳には雪山の女王のごとき誇りが宿っていた。
風が吹く。彼女の髪が舞い上がり、天龍の視界を覆った。
彼は静かに頭を垂れる。
唇が、触れ合う。
それは、まるで初雪が蕾の梅にそっと触れるかのような、儚く優しい口づけだった。
しかし次の瞬間、酒に火が燃え移るように──熱は広がる。
二人は雪の中で、凍てつく空の下で口づけを交わす。唇が重なり、冷たい世界を燃やすように、運命の空白に痕を刻むように。
天龍の手は彼女の腰をしっかりと抱き、さらに深く、柔らかさを求めるように滑り込んだ。それは、永遠に手放したくない想いの証。
曾無双は荒く息を吐き、震える声で囁いた。
> 「これからは……知らないふりをしてくれる? お互いに。」
天龍は答えない。ただ、再び唇を重ねた。より深く、より強く──まるで最後の刻印のように。
雪の中、髪に雪が溶け、肌に冷たさが染みる中で──名前のない温もりが、秘密の愛が、そして永遠に続く想いが、確かにそこにあった。
吹雪は止まない。
向かいの雪山、岩壁から突き出た老松の枝の上に、ひとつの影が立っていた。白い毛皮の衣を纏い、黒髪が風に揺れ、氷で彫られたかのような顔──それは皇室の高貴なる姫、趙玉だった。
彼女は言葉もなく、身じろぎもせず、ただその目だけが、天龍と曾無双の一挙一動を静かに見つめていた。
> 「そういうことだったのね……」
彼女は囁いた。
彼女はすべてを見た。曾無双が自ら近づいた瞬間を。天龍の手を引いて、触れてはならぬ場所へと導いたことを。そして──あの激しい、雪の中の口づけまでも。
趙玉の胸がわずかに震えた。しかし、彼女は怒らず、泣きもしなかった。
> 「彼女に……その願いを叶えさせてあげましょう。」
心の中でそう呟く。
「どうせあの婚約者という男も、政略に縛られただけの存在。心など、そこにはない。」
風が頬を切るように吹きつけるが、趙玉はただ拳を衣の中で握りしめ、静かに立ち続ける。
> 「彼女の身体に初めて触れたのは誰? それは天龍。彼女が心から求めた男。それが真実。名も義も関係ない。」
「それもまた──一つの幸せなのだろう。儚くても、間違いでも。」
彼女は背を向け、立ち去ろうとする。だが、その足が止まる。
> 「天龍……あなたは、私のもの。」
その呟きに、初めて決意の色が浮かんだ。
> 「たとえ、今夜彼女があなたを抱きしめ、あなたの血を宿そうとも──最後にあなたの隣に立ち、大義を共にするのは、私。」
彼女は深く息を吐いた。その息には、波のような想いが込められていた。
> 「彼女が哀れか、憎むべきか──答えは出ない。でも私は知っている。あなたは、私のもとへ帰ってくると。」
雪はさらに深く降り積もる。だがその中に佇む趙玉の姿は、まるで冬の中に咲いた一輪の梅の花のように、凛と気高く──そして、自らの春を待ち続けていた。
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