ショーモネーター
「か弱い女性 一人でスラムへ?
危険ではないですか?」
「大丈夫よ!
金てk……急所を蹴ってやるわ!」
・
・
・
「てぃっ!」
ゲシッ!
(決まった……!)
「ぐぉおおおぉお!……なんてな。
弱点を鍛えないとでも思ったか?」
そう言いながら、転げ回るゴロツキ。
しっかり、効いてるようだ。
ちな、脂汗もダラダラだ。
「……。」
それを眺めながら、ふと我に返る少女。
(──あらっ!?
アタシったら、なんでスラムに来てるのかしら……?)
(……好奇心が どうしても抑えられなくて??)
(──そんなことより、早く 逃げないと!!)
慌てて その場を逃げ出し、家 目指して脱兎のごとく駆け去る少女であった。
・
・
・
── 通称 "天界"
人界 管制室 ──
一人の男がモニターを眺めながら悪態をついていた。
(──チッ! なんだぁ? なんで、こうなったぁ?)
"シュウン──!"
"ドカ ドカ ドカッ!"
前置きもなくドアが開き、治安部隊が統制のとれた動きで突入してきた。
「そこまでだ!」
「──なッ?! ち、治安部隊!?」
「第5級 監視神 ウォッチャー! お前を婦女 暴行 誘発 未遂の現行犯で逮捕する!」
「これまで、下界の女性たちを "好奇心" の名目でスラムへ誘引、己の獣性を処理するために犠牲にしてきた件、当局は すでに把握 済みだ!」
「おとなしく、お縄につけ!」
「………」
(クソッ……
なんで、バレたんだぁ?)
「……お前には、弁護神を呼ぶ権利がある。
お前には、黙秘権がある。
お前の供述は、法廷で お前に不利な証拠として採用される──
・
・
・
「──ちょっと前までは、不用心にスラムに立ち入って酷い目にあう女性の話が多かったけど、ようやく聞かなくなったねぇ……」
「……でも近ごろは、親から虐待されてる子が女の子が増えてきてるみたいよ?」
「あら、そうなの?
家の中のことは よく分からないし、衛兵も手を出しにくいから困ったものよねぇ……」
・
・
・
── 天界
治安部隊 捜査会議 ──
「……と言うわけで、昨今は監視神による、親を使った性的 虐待が頻発しております。」
「──まったく!
監視神の資質は、どうなっとるんだ!?」
「コネ就職が多い部門ですからねぇ……」
「始まりはコネでも、大人しく真面目に勤めていれば可愛げがあるものを……」
「関係神による捜査の妨害、隠蔽も悩ましいですな……」
天界の治安部隊は連日、大忙し。
""浜の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ──"
どっとはらい。