エピローグ 大団円のあとはフルーツ食べ放題で
翌朝の朝刊には、こう書いてあった
タイトル:ガンドラームの魔女、またまた大損害を生み出す――いくら人命救助のためとはいえ、軌道エレベータを損傷させるなんて、常識外れもいいところだ。他に方法はあったのではないか?
それをパトカー内で読んだザーセクは、けっと悪態をついた。
「無責任なやつらだぜ、ジャーナリストってのは。あの状況で他にどんな方法があったっていうんだよ」
ルルは記事に関心がないらしく、チーズケーキをワンホールで食べていた。
ただし疲労の色は濃くて、目の下は真っ黒であった。やはり魔女化すると寿命が縮んでしまうのだ。
ザーセクも魔女の騎士をやって、かなり疲弊していたので、ショートケーキをぱくりとかじりつつ、本事件の報告書を電子媒体で読んだ。
「お菓子会社は裁判の結果、軌道エレベータの補修費用を負担することになって、今年の業績は赤字確定だそうだ。例の常務は懲役三十年、しかも個人責任としてお菓子会社から損害賠償を請求されるとさ。殺人より重いねぇ、この手の罪は」
ルルは事件の後処理にも関心がないらしく、今度はチョコレートケーキをワンホール食べた。
ザーセクは、ショートケーキを食べ終わったら、強烈な眠気を感じた。
魔女の騎士になって戦った翌日は、いつも疲労困憊だ。ホムンクルス強化手術を受けた自分でこうなら、生身の彼女はもっとつらいはず。
「今日はパトロールをテキトーにやって、体力の回復に務めようや。俺はともかく、ルルが倒れちまうよ。ってわけで、なに食べたい?」
ルルは興味のある食べ物の話題になったので、興奮状態になった。
「むふーっ! フルーツ食べ放題がいい!」
「んじゃあ、フルーツ食べ放題のある店の周辺をパトロールするか」
こうして二人の若者は、適度に力を抜きつつ、今日もAMIとして仕事をこなしていくのだった。
物語は完結です。お付き合いありがとうございました。