最終競技
これで、全組が一勝で並んでしまったわけだ。予定外だがまあいい。こんなこともあろうかと、保険をかけておいた。
僕は、体育祭ではなく、あえて運動会と命名した。
「泣いても笑っても、いよいよ最後の競技となりました。運動会に相応しく、運を動かす、運当てゲーム。」
内容は単純な的当てゲームだ。得意の武器が的に当たれば、指名したチームの点数を奪える。天使と人間には弓の名手がいる。大天使アナエルとウィリアムテル。かれらの弟子もまた弓の名手である。しかし、悪魔界には鎌の名手がいる。かつて真田の悪魔軍と恐れられた十勇士の一人、由利鎌之助。幸いにも彼は本学で悪魔になるべく勉強中だ。
天使と魔導師は、軽々と的に当てた。ここまでは想定済みだ。これで、鎌之助が当てれば、どこの点を奪うかで勝敗が決まる。天使には貸しがある。当然、魔導師からとなるだろう。ならば、こちらも魔導師から点を奪えば、勝てないまでも負けることはない。
鎌之助は得意の鎖鎌で渾身の一撃を振るった。鎌は回転しながら、的めがけて飛んでいった。
「パッカーン!」
心地よい音が響き渡る。
「悪魔組、失格。」
鎌之助の投げた鎌は的を真っ二つに切り裂いていた。あー、これで悪魔の敗退が決まった。いったいどんな罰ゲームが待っていることやら。
「最終結果の発表です。」
悪魔の連中は意気消沈している。もはや暴れる気力も無いようだ。
「最終競技の結果、天使から魔導師へ1勝移動。魔導師から天使へ1勝移動。よって、全組引き分けとなりました。」
僕は、横にいる天使を見た。
「マーチングのお返しか?」
「まさか。もし、天使が悪魔の点を奪ったしても、魔導師が天使の点を奪えば天使は勝てない。魔導師のやつらも同じように考えたのだろう。」
しかし、これでは罰ゲームはどうなる。
「最終結果を発表します。天使組、魔導師組、悪魔組それぞれ0点。校長先生3点。よって優勝は校長先生。」
何だ。何が起こった?
「それぞれの先生方が組を代表して賭けを行ないました。先生方は自分の担当が優勝すると予想なさいましたが、校長先生だけが引き分けを的中させました。」
「どの生徒も、優劣をつけ難くてな。まあ、そうゆうことで、全員お仕置きじゃ。」
悪魔は校庭草刈り。天使は窓拭き。魔導師は廊下掃除。結局は、全員が校長にしてやられた。




