表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/38

マーチング対決

「クラス対抗の応援合戦を行ないます。参加者は至急集合してください。」


 最初は魔道師の掛け声に一糸乱れぬ動きを披露するキョンシー軍団だ。シャーマンの叩く太鼓の音とともに、40対のキョンシーが一列で入場してきた。会場の中央に来ると、一体おきに左右に分かれて回転を始める。2つのプロペラは離れたり、交差したりと縦横無尽に動く。やがてプロペラは4つ、8つと分かれる。宙を舞うものは激しく大地に叩きつけられる。千切れた頭を抱えて奔走するもの。死体なので人間離れをした技の数々で場を盛り上げる。最後は肉体から骨を分離し別々に動かす。骨の無い肉の塊は、蛸のようにぬめぬめと動く。これは見るものをも骨抜きにした。


 次に入れ替わるように現れたのは、死神たち。鎌を使ったカラーガード、通称「カマーガード」。団体行動ができない彼等は、個人技で魅せる。彼等にとって鎌は、体の一部である。カマーガード最大の見せ場は、30体による集団真剣勝負。彼等が鎌を振るう度に赤銅色の土ぼこりが宙を舞う。力尽きたものは切られ、場外にて復活する。それはまるで地獄の門番ケルベロスたちの戦いを髣髴とさせた。見守る悪魔たちの「ケロ、ケロ」という声援に会場は興奮し、やがて2体だけが残った。一体は番長格。これは予想通りだった。そしてもう一体は目立たないひ弱なやつだった。当然、客は番長を応援する。力自慢のやつは鎌を大降りして襲いかかる。しかし、もう一体は、紙一重のところでのらりくらりと避ける。

「避けてばかりじゃ、勝てないぞ。」

 番長の振り上げた鎌が、相手のフードを縦に切り裂いた。フードは地面に力無く落ちた。

「オー!」

 番長が雄叫びを放った瞬間、

「後ろががら空きだ。」

 その声とともに、彼は倒れて場外へと消えた。


 中央に立っているのは、まぶしい光に包まれた死神だった。かつて死神というのは神の使いであった。が、悪魔にそそのかされ魔王とともに地獄へと移り住んだ。やつは、悪魔と天使の二面を持ち、死神界のエリートと称されるサリエル家の血筋をひいていた。


 最後の一体になり、声援は最高潮に達した。その時、高らかなラッパの音とともに、20体の後光に包まれた天使たちの隊列が空から舞い降りてきた。それを見て、残った死神は退散する。統率がとれているとはいい難いが、そこは個人の技量でカバーしてくる。かれらの澄んだ音色に、興奮した観客も静まった。曲はもちろん、「聖者の行進」。観客の天使たちも歌い始める。


 ちなみに天使の演奏中、悪魔たちは耳栓をしている。


「生徒会の審査結果は、天使と魔道師がそれぞれ4票。よって、会長判断で勝者は天使組となります。」

 前にも述べたが、悪魔は天使以上に魔道師が嫌いだ。ここは、天使に恩を売っておくのも悪くはあるまい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ