表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/38

 業を煮やした閻々は金棒を放り出すと、客席にいた取り巻きから錫杖を受け取った。シャリシャリという退魔の音が僕の頭に響き集中できない。

「ここからは菩薩としての閻魔一族の力をみせようぞ。」

 長い錫杖とその音に、次第に追い詰められて行く。

「もう後がないぞ。」

 やつは錫杖を振りかぶると力いっぱい僕の部上に振り下ろした。


 パキン


 ついに、僕の鎌の刃は真っ二つに折れた。お陰で直撃は免れたが、鋭く真っすぐな折れ口が痛々しい。

「折れたにしては、綺麗すぎる。誰かが予めひびを入れておいたのか。」

 だとしても、いまさらそんなことを詮索しても仕方がない。

「万事休すか。」


「これを使え。」

 客席からの声を共と、一本の大鎌が僕の横に飛んできた。その鎌の柄は長く、刃は異様な黒い光を放っていた。

「それは抜いたものは王妃になるというナガエクサカリバ。」

 鎌を見た閻々は明らかに動揺していた。

「ほう、やはり知っていたとはな。」

 僕の後ろには馬頭がいた。


「長柄草刈刃」天界の神殺しの剣「短柄草刈刃」と対で造られた魔界の鬼退治の首切り鎌だ。その刃は隕石より取り出した隕鉄を七日七晩かけて地獄の炎で鍛造したとされ、その柄は鉄よりも固いとされり鉄刀木という木でできている。剣は、天界より人間界にもたらされ、今では異国の王剣とされている。


「部下の岩鬼に守られせていたはず。どうしてそれを。」

「土台の岩を蹴とばしたらあっさり渡してくれぞ。」

 馬頭は笑いながら答えた。それはまさにいつも通りの馬頭だった。

「役立たずが。まあいい。これでお前が妃になることがはっきりした。そこで許婚が負けるのを見ているがいい。」


「それはどうかな?現会長としてボクも参戦しよう。」

「遅れて来て、すでに失格だ。」

「馬は?」

「馬は武器ではないから使用禁止だ。」

 怒った閻々はなんとしても場内に降りようとする馬頭を止めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ