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修学旅行

 秋になると、学生たちはそわそわし始める。修学旅行だ。学年というものがないので、全校一斉にでかける。


 なんといっても人気なのは三途の川クルージング。豪華客船に乗って須弥山から地獄まで下ってくる。

 次が、地獄サウナ。灼熱地獄でほてった体を極寒地獄で冷やす。僕としては何が面白いのかわからない。閻魔庁でのお仕事体験も優等生の間では根強い人気がある。実際に官吏の仕事を手伝うのである。


 ただし、あの世は果てしなく広い。時折迷子になるやつらが必ずいる。夜になれば、馬鞍投げに興じる連中が引率の教師に見つかって体罰を受けてる。地獄では値罰が当たり前で、説教のほうが忌み嫌われる。


 鼠の国に行く連中もいる。お結びを渡して中に入る。餅のランチを食べながらネズミたちのショーを見る。帰りにお土産をくれるが、必ず小さいほうを選ぶように注意される。間違って大きいほうを選ぶと、中には大量のゴミが詰まっているからだ。ほかにも干支にちなんだ国があるのだが、最初の鼠だけで時間がなくなってしまう。


 勉強をしたい学生には猫の国に学校もある。1から3限目まで学んで昼食まで1時間休憩する。四時限目はポケーと三途の川を眺めて疲れた頭を癒す。時折、水死体、いわゆるドザエモンがホンワカパッパと流れていく。


 僕たち生徒会は、海外か上陸してきた爆速の運び屋がいるというので視察に向かった。悪魔ではなく魔法使いの学校らしい。

「それなら、やつだよ。ハリー・ポーター。」

 ゆっくりと歩く魔法使いがいた。その遅さは牛頭といい勝負だ。

「やつは、鈍い子だからね。」


 旅行の間、馬頭は調べたいことがあると言って、旅先の住人にロールプレーイングゲームのように、ひたすら何かを尋ねて回っていた。

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