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本心

 いよいよ投票日を迎えた。教室のモニタに投票前の候補者の紹介が始まった。僕たち候補者は高等部で発表を待っていた。

「まずは卒業生代表、閻々王子。言わずと知れた閻魔大王様の甥でその権力は学園一。次に現会長の馬頭。前回の選挙戦を堂々一位で制した実力の持ち主であります。最有力候補はインド留学より戻られた珊底羅王子。いまや全女子の憧れの的と言っていいでしょう。天使アニエルは生徒会四天使の長男。容姿端麗で男性天使の憧れです。注目はキャンプで大活躍を見せた金狼法師。逆転劇はあるんでしょうか。最後が大穴。中等部クズ会長。事前アンケートでは全く人気がありませんでした。このまま惨敗すれば会長という立場も危ういでしょう。」


「閻々ちゃん。お誕生日おめでおう。」「ママありがとう。ママのケーキ最高だよ。」閻々のマザコンぶりが流れた。続いて留学生珊底羅に種付けさたというインドの少女たちが映った。


 放送ジャックだ。


「これがこいつらの実態だ。皆、よく思い出してくれ。この味気なかった学校生活の中で誰が我々のことを考えてくれたのか。真の人気者とは何なのかを。」

 仮面をかぶった悪魔はそう言うと画面から消えた。


 投票は始まった。今はデジタルの時代。すぐに投票結果が出る。投票結果を待つ僕たちがモニタに映っている。

「閻々10票。アニエル15票。馬頭19票。珊底羅20票。金狼法師30票。クズ120票。」


「八百長だ。誰かが映像を捏造したんだ。」

 結果を聞いた珊底羅は真っ赤になって叫んだ。憤怒の表情はさらに怒りを増していた。

「そうだ生徒会の連中仕業だ。皆で総会を請求してリコールしよう。」

 そうか、それがこいつの狙いだったのか。人気投票で集めた票を背景に臨時総会を要求するつもりだったんだ。

「見苦しいですよ。珊底羅。」

 画面に薬師如来の姿が映った。

「インドでの所業は私のところにまで届いています。馬の耳に念仏とはよくいったもので、お前はろくに私の話も聞かず勝手なことばかりする。だからあえて異国の地でこの世の不条理を学ばせようとしたのに。もう一度世間を見てくるがいいでしょう。そして自分のしたことことに向き合って責任をおとりなさい。」

 珊底羅はその場に崩れ落ちた。その姿は見るも無残だった。


「以上の結果から、今回も大穴を的中されました校長先生の勝ちです。」

 結局、校長の策略にまんまとはまってしまったようだ。おそらく放送ジャックも校長のしわざだろう。あの票も僕の実力じゃあない。とぼとぼと中等部に戻ると、「おめでとう。」「やったね。」と、中等部の悪魔たちが出迎えてくれた。

「やっぱり、俺たちの代表だ。やってくれたぜ。」

 僕は訳がわからなかった。不人気だったはずなのに。

「悪魔が事前に本心を言うわけないだろ。」

 そうだ、本心を隠して人に近づくのが悪魔だった。

「お前は個人的には人気はないが、会長としては最高だぜ。」

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