同じ釜の飯
「今夜はキャンプファイアを囲んで、野営をします。今日一日、全員で協力しましょう。」
生徒会長として挨拶を済ませると、僕たちもキャンプに加わった。
今回のスローガンは「同じ釜の飯」だ。前夜祭で使った巨大風呂釜で、炊飯をし、香りと生気と死肉を皆で分かち合う。これぞ、日本文化。
調理は魔導師組が行なうので、天使と悪魔は運搬や片付けが仕事だ。
「極寒地獄から冷凍食品持ってきたよ。」
宗教も宗派も色々なので、メインは焼き魚と焼き鳥だ。むろん火加減は重要だ。
「焦げ臭いぞ!」
「だれだ、地獄の炎を持ってきたやつは。」
初めてのことで仕方が無い。失敗も良い思い出になることだろう。
食事ができるまで、手の空いているものは、魔導師のテント張りを行なう。こっちも、おおざっぱな悪魔と細かい天使の間でいざこざが絶えない。あわただしい中、食事が済むと、いよいよ余興の時間だ。
キャンプファイアを囲んで、悪魔のギターや天使のラッパなどに合わせて思い思いに歌い始める。天使や悪魔は火の中を飛び回る。彼らは肉体が無いので、熱さを感じない。一週間という短い間だが、一緒に働いたことで種族を超えてなんとなく打ち解けてきたように見える。互いの嫌なことや喜ぶことがわかってきたのだ。
互いに感情を持ち、協力をする。これが、神の描いた理想世界なのかもしれない。
「やあ、勤労奉仕ご苦労だったな。」
僕は、魔導師のキャンプリーダーに声をかけた。
「自分はコンロウです。金狼法師。」
「仲間同士、力を合わせるのもいいだろ。」
「仲間導師は隣です。」
何だか話がかみ合わない。笑ってごまかすか。炎を見ていると、些細なことはどうでもよくなる。
夜もふけると、楽しい時間は終わりだ。魔導師と天使はねぐらへと帰る。残った悪魔たちも山の中へと消えていった。やつらは朝まで気ままに過ごすことだろう。最初はいやいやだった生徒会長だが、今日ほど楽しいと思ったことはない。




