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転生3

 記憶を頼りに辿り着いた冒険者ギルドは、悪い方向に予想通りだった。銀行と同じようにプレイヤーキャラが建物に吸い込まれて行って、一般の人達は見向きもしない。ようするに、転生した俺が入ってもどうしようもない施設になっているという事だ。


「もしかして…一般人には冒険者って居ないのかな?」


 そうなると、いよいよどうやって金を稼げばいいのか分からなくなる。まさか元ゲームキャラとか関係無く、普通の人みたく街の中で仕事をして生きていかなければならないって事なんだろうか?


「マジか…皿洗いとかしたくねぇ…」


 なんの後ろ盾が無い時の、定番のアルバイトが頭に浮かぶ。こんなに生きにくい世の中なんだったら、転生なんかしてくなかった。


「ん?」


 ダメ元で冒険者ギルドの中を覗こうかと建物に近寄って見ると、扉に一枚の張り紙がしているのが目に入った。プレイヤーキャラはどうせワープして中に入っていくので、無視してその張り紙の内容を確認してみると。


「…おお!?」


 なんとそれは、冒険者募集の張り紙だった。募集内容としては健康で体力がそれなりにあって…モンスターと戦える方なら誰でもOKときたもんだ。場所は…この建物の隣!こんな所に貼ってあるとか、もしかして転生者に向けた募集広告なんじゃないだろうか?


「よし!」


 素早く隣の建物を確認すると、看板には「冒険者ギルド。通常窓口」と書かれていた。


(通常窓口?)


 謎の注釈に疑問を抱きつつ、ギルドの中に入ってみる。そこは先ほどの銀行のような地獄絵図ではなく、カウンターには笑顔で対応する受付が居て、クエストボードの前では数名の冒険者らしき人が依頼を眺めている。そんな…ちゃんと人間が利用する施設である事が見て分かった。


(確かにこれは通常だ…って事は向こうはなんなんだろう?)


 ともかく、ここでなら俺の働き口が見つかるかもしれない。俺はとりあえずカウンターに向い、転生したての住所不定戦士でも仕事を受けれるか確認をしてみる事にした。


「すみません」

「はい、ようこそ冒険者ギルドへ。初めてお見掛けする方ですが、冒険者登録でしょうか?」

「は、はい。俺…この街に来たばかりで何も分からないんですけど。その登録するのに必要なものってあったりするんですか?」

「大丈夫。当ギルドではクエストを達成出来る力量があるならばどなたでも登録をする事が可能です。登録するだけならば無料となってますので、お気軽に登録してってください」


 笑顔で語る受付さんには悪いけど、どことなく詐欺っぽい感じのする紹介だった。


(なんかこれ…派遣っぽいなぁ。本当に登録して大丈夫かな?)


 一抹の不安を抱えつつ、それでも俺は登録するしか無かった。だってそうしないと生きていけないのだから。


「はい、これがギルドカードになります。このカードの機能として、本人認証。お金の保管。クエストの受注と報告。実績の記録。能力表示等々、様々な事が可能です。ただし、失くした時は再発行料が発生しますので気を付けて下さい」


 言われるがままに渡された書類に書けるだけの事を記入して、しばらく待った後に渡されたのがそれだった。


(ゲームのステータス画面をカードにしたようなデザインだ…)


 結局の所、ゲームとこの世界ってどういう関係なんだろうか?建物があってプレイヤーキャラが利用している以上、この隣にある冒険者ギルドも無駄な物ではないんだろう。街の人があの不気味なプレイヤーキャラをどう思ってるとか気になる事は多いけど、ひとまずは俺の生活の方が大切だ。


「クエストはあちらのクストボードに貼り付けてありますので。達成可能だと思うものをこちらの窓口までお持ちください。失敗した際のペナルティがあるクエストもございますので、内容をしっかりと確認した上で受けて下さいね」


「ありがとうございます」


 受付さんにお礼を言ってクエストボードに向かう。楽で、早く終わって、金が稼げるクエストがあると良いな。

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