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GM1

 アテナが正式?にこの世界に転生をして数日が経った。この数日間はアテナがアルハの街で暮らす基盤作りに奔走したもので、俺の予想に反して特に問題無く終える事が出来た。懸念していた俺の知人達へのアテナの紹介なのだが、アテナの容姿と中身のギャップについては特に突っ込まれる事は無く、むしろ俺とアテナのなれそめについて聞かれる方が多かったくらいだ。

 その理由として考えられるのはアテナ自身のコミュ力の高さ、そして正々堂々とした態度にあると思う。普通人と違うという事は、どうしても引け目を感じてしまうものになってしまうと思う。実際俺も他のプレイヤーよりも劣っているステ振りを気にしていたし、転生して相対的に普通の人より強くなった今でも自信を持てないでいる。


(アテナが転生した以上、他のプレイヤーだって転生する可能性があるしな)


 まだ見かけては居ないけど、きっと俺達以外にもプレイヤーキャラから転生している奴は居るだろう。見かけない理由としては別の街に居るか、もしくは俺では不可能な冒険を転生後の世界でも繰り広げているかだ。


(多少上の狩場でも、この世界ならゲームよりも利益を得る事が出来るだろう)


 なんせ最弱のモンスターの落とす素材でもかなりの額なのだ。俺だけじゃ倒せないけど、ウサギのモンスターの素材も超高級素材として極々たまに討伐隊が組まれているらしい。


(まぁ…以前よりは羨ましいとは思わなくなったか)


 特にゲームのキャラの時、倉庫キャラに甘んじていた時期は大分卑屈になっていた覚えがある。しかし削除されて転生してからは、生きる事や街の人と交流する事でそんな事を感じる事は少なくなっていた。さらにアテナという俺には勿体無いくらいの妻が出来た事で、自身の恵まれた状況に感謝をするくらいだ。


(環境が変化するだけで、こうまで前向きに考えられるようになるとはな)


 俺が今こなしている薬草採集も、ゲームならただの時間の無駄とも言える意味の無い行為だろう。しかしこの世界においては俺の採ってきた薬草で救われる命もある大事な仕事だ。ステ振り失敗の産廃キャラの俺でも、人の役に立てているというのは純粋に嬉しい。俺を…そしてアテナを転生させたの神様が居るとしたら、新しい役目を与えてくれた事に感謝を伝えたいものだ。


「おーい、なにぼーっとしてんだ?」


 少しだけ不満げな顔をして、アテナが俺の事を見上げてくる。


「やっぱり疲れてたか?色々一段落ついたから一緒に遊びたかったけど…休んでた方が良かったかな?」

「あ…悪い悪い、ちょっとここ数日の事とか思い出してた。疲れてるって訳じゃないが…やっぱり頭を切り替えなきゃダメだな、折角アテナがデートに誘ってくれたのに」


 しょんぼりしてしまったアテナに慌ててフォローを入れる。そういうのを忘れて気分をリセットするために誘ってくれたのに、まだそんな事を考えているなんて誘ってくれたアテナに失礼というものだ。


「よし、もう大丈夫だ。この前じゃ見れなかった所とかを見て回るんだよな?ガンガン俺を引っ張りまわして、余計な事を忘れさせてくれ」

「…言ったな、覚悟しろよ?明日も強制的に休むくらい引きずり回してやるからな」


 そう言ってアテナは不敵な笑みを浮かべると、俺の手を掴んでぐいぐいと引っ張りながら先導を始めた。まず向かうのは市場の方向、腹ごしらえを済ませようという事だろう。今日のデートについてなにやらウズメさんに相談していたみたいだし、どこに連れて行ってくれるのかが楽しみだ。

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