地図と魔法
町に出てまずは食事と目についた喫茶店に入った。
幸いまだモーニングを頼めたので2人でモーニングを頼む。
こっちの食事もあまり変わらないな、と思いながら窓の外を眺めていると目につくのは魔法を使う町の人たちの姿だった。
「魔法か、やっぱすげぇな」
「不思議だよね、あの指先からすごい勢いで水が出てるの便利そうだよね」
「丸太3本抱えてる人もいたけどあれも魔法なのかな? 町が田舎町っぽいなかでこの風景はやっぱり違和感しかねぇな」
「私たちも使えるようになるかな?」
「こっちにいれば誰でも使えるようになるらしいぞ、ごくまれに全く素質がなくて使えない人もいるらしいけどな、お前とか」
「またそんな意地悪言う……、私だって使えるようになるわよ、その為に来たんだし」
「そうか?まぁ、実際にどうかはわからないけど早くて2週間遅くとも1か月もいれば生活魔法くらいは使えるようになるらしいな、魔力が安定するのが1年くらい過ぎてかららしいので、本格的な魔法の授業は2年かららしいぞ」
「へぇ、よく調べているのね」
ニコニコしながら遥香が言う。なんだかバカにされてる気がしてきた……
「食べ終わったら行くか、本格的な買い物は向こうに着いてからのほうがいいけど、便利そうなものがあるかもしれないしな」
「そうね、行きましょう」
そうして俺たちは喫茶店を出た。
町を見ていて目につくのはやっぱり魔法だ。よく見るといたるところで使われている。
掃除、洗濯、料理……ほかにも建築から農作業にも使われているようだ。
意外なのは港町なのに魚介類が売っていないこと。
聞いてみると、海は危険すぎるので漁師がいないらしい。
海で襲われたらひとたまりもないから当然ともいえた。
「ああそうだ、地図を買っておこう」
「地図?」
「そう、こっちじゃスマホも使えないんだ、せめて地図くらい持っておかないと何かの時に困るだろ?」
「地図ってどこに売ってるの?」
「普通は本屋じゃね?観光マップならコンビニでもありそうだけど」
「じゃ、本屋をさがすのね?」
「ああ、じゃいくぞ」
そうして俺たちは本屋を探し出し磁石付きの地図を買った。
小笠原地区とエルフ王国の国境までの地図で最新のものであったが、空白地帯の多さが目立つ地図だった……