【第2章】トランスジェンダーとは、性自認とは?
トランスジェンダーってなんぞ?性自認ってなんぞ?
いろいろなところでこれらの言葉を目にする機会が増えましたが、まだまだ言葉が広まって日が浅いので、意味をよく知らない人も多いのではないかと思います。
私自身も、たまたま大学時代にとった選択授業が「ジェンダーについて」の科目でなければ、知る機会はなかったでしょう。
ここではまず、それぞれの言葉について説明しておきたいと思います。
性別は「自分でこれだと思っている性別」と、「体の特徴によって区別される性別」の2つで捉える方法があります。
それぞれ、難しい言葉であらわすと「性自認」と「身体特性」です。
「性自認」(せいじにん)……その人が「自分は○○だ」と認識している性別のこと。「私は女だ」「私は男だ」「私は女でも男でもない」など、その人が自認している性のこと。
「身体特性」(しんたいとくせい)……体のつくりから識別される性別のこと。「胸が膨らんでいるから女性」「ヒゲが生えているから男性」など、身体的特徴における性のこと。
「自分で認識している性」と「体の性」を別々に捉えることによって、「私は自分を女だと思っているけど、生まれてきた体は男なんだ」とか「私は自分を男だと思っているし、体ももともと男だよ」「私は女の体で生まれてきたけど、女でも男でもないと思っているんだ」などという説明ができるようになります。
世の中には、「自分で認識している性と体の性が同じ人」が多いですが、なかには「自分で認識している性と体の性が違う人」もいます。
そのような人たちの状態を「トランスジェンダー」と呼ぶのです。(※1)
私は、第1章にも書いたように、自身を「トランスジェンダーのFtM(Female to Male)」ではないか、と考えています。
女性の体に生まれたけど中身は男性です、というタイプ。
ちなみにGID(性同一性障害)は「性自認と身体特性が一致していない」かつ「外科的手術による一致を望む」状態のことを指します。
「トランスジェンダー」の人たちとよく似ていますが、トランスジェンダーの人たちが必ずしも「外科的手術」を望むわけではないという点で、用語の使い分けがされているみたいですね。
(※1)トランスジェンダーという言葉について
本記事で登場するトランスジェンダーは、狭義の「性自認と周囲からみられる性が異なる状態」を指しています。
性自認の傾向をそれぞれの特徴ごとに「トランスセクシャル(TS)」「トランスヴェスタイト(TV)」「トランスジェンダー(TG)」という3つの言葉に区分し、それらをまとめて「トランスジェンダー」と呼びます。
ですから、「トランスジェンダー」と一口に言っても、狭い意味で使っているのか広い意味で使っているのかを明らかにしておく必要があります。
「トランスヴェスタイト(TV)」は、「性自認と身体特性が一致しており、社会的・身体的なトランスは望まず、かつ異性の服装をする人のこと」だそうですが、これとTS、TGを同じ括りにすると聞いて驚きました。
だってこれ、ときどき男装するのが趣味の女の子が「私トランスジェンダー(TV)なんですぅ~」ってキャラ付けも兼ねて自己紹介する場合と、性の不一致に悩んで外科手術まで行った人が「私トランスジェンダー(TS)なんです」って自己紹介する場合が第三者から見て同じ字面になっちゃいますよね。
それって、なんだか本当のマイノリティにとって不利な誤解を生みそうな……。うーん。