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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

足がつった俺に魔物が迫ってくる

作者: 中薗智

 

「はあーっ!」

 両手に持つ一刀の刀を振りかぶり狼型の魔獣に斬りかかる。


 熟練された剣の方の動きは見事に魔獣の首筋を捉え切り落とした。


「よし」

 周囲の安全を確認し、魔獣の死体をギルド支給のアイテムポーチに収納した。


「帰るか」

 体力はまだ十分残っているがパーティを組まずソロで活動しているため危険性を十分考慮した考えだ。


 ダンジョンを下る階段に足を進めるがそこで気配察知に新たな反応が出る。


 うへぇ、めんどくさいな。


 やり合わず逃げて乗り切ろうと迫ってくる気配に注意しながら足を速める。


「――っ!」

 突如ふくらはぎに鋭い痛みが走り思わずその場に倒れ込む。

 一体何なんだこの痛みは。


 とっさにアイテムポーチに入れてある回復のポーションを取り出し、一気に飲み干すのだが……、

 痛みが引かない!?


 回復のポーションは傷を治し疲労を和らげる性質を持っているはずだがこれが効かないということは、

 くそっ、状態異常か。


 ポーションの入っていた瓶を投げ捨て代わりに状態治癒のポーションを飲む。

 ――これでもだめか。しかし、ならこれは一体。


 幸い状態治癒のポーションを使用したため精神はパニック状態にならず冷静でいられることができた。だがその間にも気配はどんどんこちらに迫ってくる。


 あっ、これ終わった。

 とうとう目視できるくらい距離に迫ってきた魔物は災厄とさえ呼ばれるほどの魔物エンシェントドラゴン。

 普段の状態でも決して戦わず逃げ、決して出会いたくない相手だ。


 エンシェントドラゴンが俺の方にブレスを放つ。


 ブレスが俺に迫ってくる僅かな間様々な記憶がフラッシュバックする。


 何も持たされずこの世界にやってこられる前の日本での記憶。

 あっちではバカなことばかりやったてたなぁ。

 そういえばこの痛み日本にいた頃一度だけ感じたことがある。確かバスケ部での試合のときだったか。


 ああ、俺、足つったのか。

 足のつりは筋肉の収縮で生じる痛み。回復のポーションでも治らに分けだな。


 まあでもこっちでは本当に頑張った。

 思えばよく上級冒険者まで上り詰めたものだ。

 常識が通じない世界の中で足掻いた、もがいた、死にかけた。

 そして、今も絶対的危機に陥っている。

 もう楽になってもいいのではないだろうかと思ってしまう。

 だがこれでも俺は上級冒険者だ。だったらこの荒波ぐらい乗り越えられないでどうする。


 災厄だがなんだか知らないが歯向かってやろうじゃないか。


 俺が決心したときブレスは目前まで迫っていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 勝つのです。勝てるのです。
2019/09/18 16:24 退会済み
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