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少女異世界放浪録  作者: コメコパン
転生、そして始まり
1/7

プロローグ 招待状は渡された

この度、小説家になろう様に投稿させて頂きました。コメコパンと申します。処女作ですので見苦しい点が多々見当たると思いますが、温かい目で見守ってくださると有難いです。

不自然な点等ありましたら指摘してくれるとありがたいです。

河川敷で、空野(からの)(あい)は彼女と草むらに腰かけていた。



「きれいな夕日だね」


そう彼女に言葉を掛けられて、愛は目の前の夕日に意識を向ける。空は僅かに赤みを帯びており、一種の幻想的な風景と化していた。


「こういう景色は『幻想的』と呼ばれるのでしょう?」


その言葉を聞いた彼女は「そうね」と呟き、口元に寂しげな笑みを浮かべた。そして、しばらくの沈黙の後、彼女は陽気そうに振る舞いながら、口から言葉を吐き出した。


「今までありがとう。空野ちゃん。高校からは別々になるけど、時間があったらまた遊ぼうね!」

「ええ、誘ってくれれば必ず応じますよ」


彼女はその言葉に今度こそ満面の笑みを浮かべ、「良かったー!!」と心から安心したように息を吐いた。

愛もそれに応じ、「『友達』として当然ですよ」と彼女に言葉を掛けた。

それから愛と彼女はとりとめのない会話をしばらくしていた。

ふと、愛が空を見上げると、既に太陽は地平線に姿を消していて、もはやそこにはただの暗闇だけが残っていた。


「もうこんな時間ですか…」

「そろそろ帰らないと、親に叱られちゃうわね」

「では今日はこれくらいで」

「ええ、じゃあ、『また』今度」

「はい、必ず」


その言葉を最後に心たちはお互いに、反対方向に歩き始めたのだった。

これが、愛にとっての日常、尤も明日——高校の入学式——からはお互い別々の高校に通うことになるのだが。

彼女との会話、やりとりは愛にとって重要なものだった。もし、小学生の頃、彼女に出会わなければ心は今、この世にいなかったかもしれなかったのだ。だからこそ、高校生活に心は少しの懸念を抱いていた。


———私はまた気付かれるのではないか。また、あの表情(かお)を向けられてしまうのではないか。また、また、また…………。


「大丈夫です、私は『人間』として生きれている」


愛は自身の思考に無理やり区切りをつけて、再び周囲に目を向けた。

今、愛は横断歩道の真ん中で歩いており、目の前では信号のランプが赤く光っていた。そして———


———赤?


その違和感に気付いた直後、愛は3メートル横に吹き飛ばされた。


———キャアアアアア!!!


遠くから誰かの叫び声が聞こえ、顔を向けようとしたが、骨でも折れてしまったのか、ピクリとも動かない。


———誰か?救急車を!!


そんな叫び声をバックに愛の目はゆっくりと閉じられ、自らの意識を手放した。





□ □ □ □ □ □ □





ふと気づけば愛は『何も見えない』場所にいた。手足の感覚はなく、方向感覚も分からないまま、言うなれば、ただただ『彷徨って』いた。


いつまで、そうしていたのか、もはや『時間』すらよく分からなくなったころ、


———おい。


誰かの声が心に届いた。もしかして、自分を呼んでいるのだろうか、とありもしない幻想を抱く。


———そうだ、貴様のことだ。


そしてそれは幻想ではなかった。なぜ、どうして、そんな漠然とした疑問が浮かぶ。


———ふむ、では、単刀直入に問おう。貴様はその『停滞』を拒み、新たな生を受けたくはないか?


新たな生、その言葉は心の中に反芻していった。

愛は昔から『人間』でありたかった。そのきっかけは親からの言葉だった。

———あんたは何なの?化け物なの!?

怯えた声で母は叫んだ。

———お前はなぜ…そんな事を…

困惑した風に父は呟いた。

そして、愛は自身が『欠陥品』なのだという結論を下した。『欠陥品』は『完成』しなければならない。


———答えはなんだ?さっさと話せ。


『人間』とは常に『生』を渇望している、だからこそ愛は同様に『生』を望む。


———ほう、貴様は自身の在り方を否定するため、二度目の生を望むか。


そう、自身が『完成』するために。


———よかろう、その望み、確かに聞き入れた。


その言葉を最後に、愛の意識は微睡みの中から浮上し始めたのだった。





□ ■ □ ■ □ ■ □





目的を終えたソレはやがて、その確かな形、声を失った。


ソレは称するならば『始まり』、そして『■』でもあった。


そして、ソレはまた俯瞰を始めたのだった。

以上がプロローグでした。もし面白いと感じてくださったのなら、次も見てくださるとありがたいです。



ではでは

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