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まずは…つーかここ何処だ?

「うーん。ここは多分どっかの森の中だろうし…まずはここから出ないとなぁ…」

僕が考え込んでブツブツ呟くと、なるほど!と姉ちゃんが手をポンと叩いた。

漫画的表現でも古いぞそれ。

「じゃあ行くぞ和人!」

姉は勇んで歩き出そうとする。

「ちょいちょいちょい、待てーい!」

姉貴のフードをひっ掴み止める。

「…ぐぇ。…なんだよ…」

姉貴の首が絞まってちょっと涙目になっている。

「はぁ…いい?ここは森の中だよ?下手に動いて遭難でもしたらどうすんの?」

姉を正座させて僕は説教する。

「スミマセンデシタ」

反省の意図が微塵も感じられないけど。

「はぁ…もういいよ。で、遭難するにせよ、なんにせよ、こっから出ないと何も始まらないので、まずこの森からでます!」


「ハイ!先生!!」


…なんか違うけどまぁいいや。


→【森から出る】


「まずは道らしきものを探すか…」

「道?…これのことか?」


姉が草木が不自然に別れた土の見える場所を指した。


「!…これきっと獣道だ!」


「けものみち?」

ハテナマークを浮かべる姉を無視して僕は考える。


「人の道じゃないけど、あるいは…イケるかもしれない…」

説明をしてくれと言う姉の顔をまた無視して僕は勇んで一歩を踏み出した。

「行こう!姉ちゃん!」


【3時間後】

「…はぁ、はぁ、和人ぉ…あとどれくらい…?」

歩けばいいんだ?は乾いた喉を潤す唾とともに飲み込まれた。

「…ふぅ…はぁ…おかしいな…」

僕は勘違いをしていたのかもしれない。

獣道でも道を歩けば…なんて。

中途半端な知識に頼るべきじゃなかったかな…


「も、もう無理…」

バタンと僕を追い越して倒れた姉に躓いて倒れる。

折り重なるようにして僕らは激しく呼吸する。


も、もうだめだ…

意識が飛びかけたその時、がさがさと何かが草むらをかき分ける音がした。

僕らはビクっと震えて身構えた。


いよいよ本当におしまいか…短い異世界生活だったな…

祈りを捧げたその時だった。


「!おや!こんなところに行き倒れが!」


快活な声が響いて草むらをかき分ける音が止まった。


人だ!


うっすらと目を開けてその人間を見ようと試みる。


「あ!まだ生きてますね!」


幼い顔が僕らを覗き込んだ。


神よ…

「助かっ…た」


僕はふっと意識を失った。


***

「いやぁーびっくりしましたよぉ!狩をしようと獣道を辿っていたら人が居るんですもん!」

「はぁ…すみません」

このやたら明るい声が「リーフェ」

狩人だそうだ。


身長は子供並みで、民族衣装のような毛皮の服を着ている。

背中には大きな弓が引っかけてあった。


頭上には、ステータス画面が浮かんでいた。


【リーフェ・アスタルト】

小さな森の管理人。

〈職業〉

狩人

〈種族〉

Schnelleシネーラ

*素早いもの

〈性格〉

Innocenceイノセンス

Kaltカレット

*無邪気だが冷たい

〈特性〉

Knowingノウウィング

*物知り

〈使える魔法〉

healヒール

〈お金〉

500W


便利だな、ステータス画面って。

怪しい人物でもなさそうだし。


「で、お加減はいかがです?」

子供狩人はにこにこと湯飲み茶碗片手に微笑んでいる。

「良いです。リーフェさんに助けてもらったので」

僕は愛想笑いをした。

起きた時始めに目に飛び込んできたのは洞窟の茶色い岩肌と自分にかけられた毛皮だった。

初めこそ驚いたものの、最後に見た救世主の顔を思い出すと少し納得した。

いかにも狩人です、という格好をしていたので記憶に残ったのだ。


「…で、あなたたちここいらではお見かけしない人ですね〜?何処からおいでに?」

言葉こそなんとなく聞いてみた風を装ってはいるが、疑っているようである。

「…僕ら、生まれはわからないんです。旅妖精ですから。どこか故郷かもよくわからないんですよ」

僕はつらつらと嘘っぱちを並べ立てた。

嘘って案外するするとでるもんだな。

「そ、そうなんですよー!いやー助かりましたぁ、死ぬかと思いましたよー」

いつの間にか起きていた姉がぎこちなく僕の嘘に合わせる。

嘘つくの下手だな姉貴。

僕は愛想笑いを続けた。

「で、僕たちこの森を抜けたいんですけど…」

案内を頼む、と視線を送る。

「ふふ、私でよければ喜んで案内しますよ!」

答えは意外にも軽かった。

僕は拍子抜けして尻餅をついた。


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