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事故ったらなんか転生した

交通事故で死にました。

僕らは、兄弟でした。


崖から車ごと転落した僕らの乗った車は、真っ逆さまに冷たい海へと落ちたのでした。


そして、現在。


「あっはっはっはっはっ!!転生!転生した!!ありがち!王道!!あははははは!」

ゲラゲラ笑っているこちらの方は僕の姉の、一条 美咲です。

決して壊れたわけではありません。

姉は元からこの様な性格なのです。

姉は昔からザ、ポジティブで、友達からはポジティブが服を着て歩いていると言われたことのある御人です。はい。


昔からこの様な性格であった為、やたらネガティブであった僕は、幾度か救われました。


でも、まさか死んでも笑っている姉とは思いませんでした。


「どうした?和人?」

はーはー言ってる姉の横で幻滅している僕を見て、美咲が涙を拭いている。

僕、一条 和人は、人生最大の転換期(エンド)を迎えた。


「これ、バットエンドなのかな…それともハッピーエンドなのかな…」

青い顔でぼそりと呟くと、美咲が間髪入れずつっこんできた。

「ハッピーエンドに決まってるっしょ!あたしたちまだまだ生きていられるんだよ?それが例えどんな形でも、生きていることに感謝をしなくっちゃ!」

美咲は軽やかな笑顔で微笑んだ。

…そうだよな。でもこうしてまた姉ちゃんと一緒にー

「…完結〜俺たちの旅はまだまだ終わらない〜ご愛読ありがとうございました〜」

「…って終わってんじゃん!!どっかで見たことあるよそれ!!」

漫画?漫画なの?

美咲は拳を握ったまま深く頷いていていた。

「ごっめーん!お姉ちゃん突然死んだからちょっとびっくりしたンゴ!」

可愛くきゃるん!とウインク&てへぺろを決める。

「クッソ、Jk成り立ての姉貴のギャル語がうぜぇー」

ぶちっと頭の方から音がして何かが切れた。

「…ま、もう女子高生じゃないけどね」

姉が少しだけ真剣で寂しそうな顔をした。

美咲は高校一年生に成り立てだった。


僕らは、夏休みの旅行で、田舎のおばあちゃん家に行く途中で事故にあったのだ。


「さて!これからどうしますかねぇ!」


姉がぱんぱんっと音を響かせてスカートを払った。


「そうだね…ここは…森みたいだけど…」

冷静になって周りを見渡す。


清々しい森の中と、近くにはそこが透けて見えるほど透明な美しい泉があった。


「…とにかく、ここを出ないと」

僕は冷静に頭を働かせる。

頭脳戦では僕の方が姉よりできる。

逆に姉は行動派で感覚人間だ。でも器用だからなんでもこなす。


「でるっつったって…森の中だよ?ここ…」

姉が初めて不安げに辺りを見渡す。

姉も女の子だからなぁ…さぞかし不安がいっぱい…

「あっ!木の実!!食べれるかな?!これ食べれるかな?!」

前言撤回。

「いっただっきまー…なにこれうめぇ!」

食ってるし…わお!超ワイルド!


《弟は考えることをやめた。》


「くっ…腹が…」


弟は【その先は自己責任で】を覚えた!

無視が1上がった。優しさが1下がった!


姉の腹から人体ではありえない音がしている。

まるで狼の遠吠えの様な響きだ。

勇ましいね。


僕は姉の方を見向きもせず考え事をしている。

すると、姉が突然奇声を空に発した。

「おっ!おい!和人!見てみろ!!」

姉が激しく騒ぎ立てる。

なんだ?どうせ下らんことだろうが…

僕は嫌々振り向き姉の方を見た途端、その先の光景に目を見張った。


「こっこれ…僕なのか…?髪も、目も、まるで違う…なんだこれ…僕が僕じゃないみたいだ…」


振り返った先にあったのは、透明な水に映る自分たちの姿だった。


髪はこうべを垂れた稲穂の様に金色、目はエメラルドの様に美しい澄んだ翠をしていた。


これが…僕…反射的に別の世界に来たのはなんとなくわかったけど、これほどはっきりしたものを見せられると実感が湧く。


間違いない。

ここは日本じゃない。

何処でもない、''別''の世界だ。

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