黒英団【4】
広信達は本拠地の中に入ると、応接間のような場所に向かった。
「…ガキども。さっきはよくもヘタな真似をしてくれたな。覚悟しておけ。」
広信はそういうと、咲達を地面に投げ捨て、腰に差していた剣を抜いた。
キラリと光る刃先を向ける。
「う…ぅ…。」
咲と日吉丸は恐怖に震えていた。
その時…。
「うわーーー!」
本拠地の入り口付近から応接間まで、部下が転がってきた。
「どうした⁉︎」
「子供です!ガキが1人、攻めてきました!」
「なにっ⁉︎ガキ1人懲らしめてしまえ‼︎」
「まさか…吉法師⁉︎」
すると、1人の子供が応接間に入ってきた。
「我は織田吉法師‼︎母の恨みを晴らす時‼︎」
吉法師は、自分の背くらいあるであろう剣を抜いた。
しかし広信は…
「お前ら、撤退だ。」
と、静かに言った。
「え…⁉︎」
「い、いいんですか、団長⁉︎」
広信の部下は慌てたような顔で、問いかける。
「ああ、行くぞ。」
そう言って広信は本拠地から出て行った。
「吉法師ありがとう‼︎」
「1人で…来たの?」
「ううん。」
その時、応接間のドアが開いた。
そこには吉法師より、少し幼い男の子がいた。
「弟の信行だ。」
「信行……。」
「よろしく。」
信行は頭を軽く下げた。
ちょっと人見知りのところがあってか、真顔もいいところだった。
「さて、2人とも。もう夜だから帰ろうか。」
「うん、そうだね‼︎」
そして4人は黒英団の本拠地を出て行った。