黒英団【3】
そのころ…黒英団に連れ去られている咲と日吉丸は、内野広信に担がれながら、本拠地付近まで来ていた。
咲と日吉丸は、黒英団に気づかれないように目を覚ましていた。
「(何か逃げる方法…ない?)」
と、咲が日吉丸に問う。
「(わ、分からない…。)」
「(うーん…。あ、そうだ‼︎)」
咲は膝を後ろに曲げ、反動を付けながら思いっきり広信のみぞおちを蹴った。
「ぐはっ‼︎」
広信は、激痛で2人を担いでいた手を離した。
2人は地面に転げ落ちたが、すぐさま体制を立ち直し…
「日吉丸‼︎逃げるよ‼︎」
と言い、ダッシュで走り始めた。
「あ、こら、まてーー‼︎」
慌てて、部下、広信が追いかける。
しかし、運が悪かった。
咲と日吉丸が向かった先は、黒英団の本拠地だった。
「あっ⁉︎しまった‼︎」
と言った時にはもう遅かった。
大人の方が脚が速いので、広信は2人の背後まで迫っていた。
そのまま広信は、2人を捕まえ抱える。
「大人しくするんだ‼︎ガキども‼︎」
「また動いたら…酷い目に合うからな?」
と、冷酷な目で咲達を睨む。
「は、はい…。」
広信は2人の返事を聞いたあと、目の前にあるボロい小屋の中に入った。