猫
突然だけど、猫みたいな人っているだろ?
それって本当に猫なんだぜ。
嘘だと思うだろ?俺、見たんだ。
大学のサークルの飲み会で俺も友達も酔いつぶれて、2人とも千鳥足で帰路についたんだ。
道中、友達の方が吐いちまって、あいつ1人暮らしだから1人で帰しちゃまずいと思って俺の家のが近かったから連れてったんだ。
まぁ、高校からの同級生で知った仲だからさ、友達の服脱がせて手持ちの服貸して綺麗にしてやろうとしたんだ。
俺もだいぶ酔ってたから中々上手く脱がせられなくて苦戦してたら間違って少しパンツ脱がせちまったんだよ。
誤解するなよ?少しだからな?しかも背中側。大事なとこは見ちゃいないさ。流石にな。
するとケツのとこになんかふわふわしたものが付いてたんだよ。
普通そんなんないだろ?だから興味本位でつい触っちまったんだよ。それを。
そしたらさっきまで気持ちよさそうに寝息立てて俺に身を委ねてた友達の身体がビクッと跳ねてムクッと起き上がったんだ。
そしたらどうだ。背中側だけ半ケツの友達のケツのふわふわしたところから尻尾が生えてきたんだよ。にょきにょきにょきって伸びたんだ。
俺は酔って夢でも見てるんじゃないかと思って自分の手を抓ってみたけどちゃんと痛くて現実なんだって確信したよ。
友達はずっと俯いてていつもの雰囲気とは違って凄く重々しかった。
『見たな』
そう低い声で言われて俺の酔いは一気に醒めた。
なんか俺、やっちゃいけないことをしたなって。
一言しか言われてないのにもう冷や汗が止まらなくなって、次の言葉が発されるまでがとてつもなく長い時間に感じたよ。
『この僕のこと、受け入れる?』
またもや低い声で言われて、それと同時に今度は猫耳が生えてきたんだ。
確かに友達の髪は猫っ毛でいつもパーマかけてたから猫耳が生えても違和感無かった。
俺はすぐに答えたよ。受け入れるって。
だって友達の身体から尻尾と猫耳が生えてたって別に変わらないだろ?
だって今まで知らなかっただけできっとずっと生えてたんだ。ずっと俺等に隠してただけなんだ。
そのくらいで取る態度なんて変わらないさ。
まぁ今まで聞いたことない声で問われたのは少し怖かったけどな。
すると俯いてた顔を上げて満面の笑みで俺に顔を近づけてきてこう言ったんだ。
『ありがとう!』って。
よーく見たら歯にも牙が生えてて本当に猫みたいだなと思ったよ。
その後ちゃんと着替え直して2人とも酔いが醒めきってたからもう1回飲み直すかってなってそこでよく話を聞いたんだ。
友達は本当に猫らしくて今まで隠してたこと、誰にも話したことがなくてやっと話せて嬉しいこと、低い声で言ったのは理解してもらえるか不安だったこと。
俺は納得して、別に今までと変わらねえよって言ってやったんだ。
俺の前では遠慮すんなよってな。
それから俺とその友達は前よりもずっと仲良くなってさ。
今じゃ何でも話せる親友だ。
どうだ?俺の話信じるか?
えっ?信じない?マジかよ。こんなリアルな話信じないのかよ。
非現実的だって?いやいや、本当にあったんだって。
信じてくれよぉ〜。
ははっ!まぁな。
また機会はあるさ。あぁ、何でもない。
じゃあまたな。
あ~あ。しくったな。
なぁ、お前。お前はこの話信じるか?
お前だよお前。お・ま・え。
勿論、信じてくれるよな?
信じろよ?
っはっ!ありがとな。
じゃあこれからお前も仲間だ。
よ ろ し く な。




