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『魅力』以外のステータスはオール1だけど生きるために冒険の旅へ

 推し真似をして唄うウェイターになってからそれなりの時間が経ったがステータスは未だに何も変化がなく、職業欄は「フリーター」と書かれている。この食事処で働いている人たちの職業欄がフリーターかというと違っていて、オーナー、料理人、ウェイターなどちゃんとした名前がついている。私の場合はまだ自分にあった職業に就いていないということなのかなと思う。


 街には人だけでなく人に害を及ぼさない、獣人や亜人、妖精や精霊、稀に人の姿に化けられる種族などが暮らしている。私の唄声が口コミで広がっていき、人以外の者たちも来るようになったのだが彼らの中に私の声でダメージを受ける者が出てきたのだ。お客さんに危害を加えたという理由で当分の間、仕事を休むことになってしまう。日雇いのような生活を送っていた私なので食べていけない! と思った私は街の外に出て自分で食料調達をすることにした。


 私の極フリしたステータスには少し問題があった。魅力というステータスがどんな効果を出しているか未だにわからないが、私がただ歩くだけで誰かが後を付いて来る。しかも何人も。さすがにそれだと外に出るのは難しいと思い、早朝夜が明けた時間に出かけることにした。のだが、どんな時間でも誰かに見つかってしまうらしい。


「ノアたん! めっちゃ早いんね! 散歩いくん?」とエルフ族のルヌが声をかけてくる。

「ノア! お出かけするならアタシに乗っていきなよ!」と下半身が馬のゴルゴーン族のアムールが声をかけてくる。


 こんな感じで私の目的にあった都合の良い人が現れるのも魅力のステータスのおかげだろう。


「やあ! おはよう! ルヌにアムール! 今は一人で散歩をしたい気分なのでまたの機会にね」とニコッと微笑む。


 私が微笑むだけで心を盗むような魔法が発動するのか、二人の瞳はハートになっている。モテたかったのは確かだけど一方的すぎると少し気が重かったりする。


 私はとりあえず街の外に出る門まで歩き、後ろを振り返る。ルヌとアムールがニコニコしながら着いてきている。さてどうしたものかと考え込んでいると。


「ノアさま! 街の外にお出かけですか? 外は危険です! 私がお供いたしますわ」とドワーフ族のアンジュが身の丈以上の鉄槌と今にも冒険へ出かけるぞといわんばかりの大きなリュックを背負って立っている。


 もう一度、ルヌとアムールをみてみるとルヌは背中に弓、アムールは腰にロングソードを身に着けている。この二人もいつでも冒険に出かけられそうな状態。正直、私だけで冒険に出て生きていられる保証はない。とするとこの三人と行くのがやはり無難だろうなと思い、三人に同行を頼もうと声をかけようとすると。


「ノアたんと冒険に出掛けられるなんて、めっちゃ幸せなん」とルヌ。

「ノア、早速私に乗ってくれ!」とアムール。

「ノアさま! 戦闘はおまかせ下さいませね」とアンジュ。


 私が声をかけることもなく三人は冒険へ行く気満々のようだ。


「三人はすごいな! どうして冒険へ行こうとしているってわかったんだ?」と聞くと。

「だって、その大きなリュックに冒険者の装備をしていたらバレバレだよん」とルヌは私の腕をギュッとつかんでくる。


 ああ、腕も胸もふわふわする。甘い香りがする。はぁ! 女の子と腕組んで歩きたかったんだ! 私の夢が一つ叶った! ってなんか男性の姿で喜ぶなんて誤解を招くじゃない!


「ちょっと! 抜け駆けは許さないからな!」とアムールは下半身が馬の姿から人の姿へと変化してルヌとは逆の腕をギュッと握る。


 きゃあ! なんかハーレム状態では! 嬉しいけど! 複雑だ!


「ず、ずるいです。私もギュってしたいです」とアンジュは前からハグしてくる。


 モテるのは嬉しいけど、前に進めない!!!!!

 これからの旅がどうなることやら……。

お読みいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願い致します!

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