宝の山の匠ドワーフ⑨ 親子の再会
「ゴホゴホ。ドワーフ族は手加減というのを知らないのですか。せっかく整えた毛並みが土まみれになってしまったじゃないですか。ゴホゴホ」
「申し訳ありません。つい我を忘れてしまいまして」
とにかく真っ暗になってしまったので心の中で心を込めて唄う。すると「キラキラ! ぴかーん!」と黄色のスライムのルミエールが現れ私の頭で光りだし、メールが「じゃーじゃー! ざぶーん!」と私たちに滝のような水をかけてくれる。これはシャブランが土まみれになったといったのでメールなりに解釈して気を遣ってくれたのだろう。「もりもり! のびー!」とフォレが閉じ込められた入り口に向けて木を生やすが振動だけで入り口は開けられなかった。
「私にお任せください」とアンジュは鉄槌とランスで使い壁を叩くがフォレのように振動はするが小さな穴一つ開けることが出来なかった。
「ごめんなさい、ノア様、皆様」
「アンジュのせいじゃない。今は助けが来るのを待とう」
「本当に待つだけでいいのか?」と声が聞こえてくる。
「サニー様?」
「ああ、久方ぶりだな。それで待つのか? それともどちらかへ進むのか?」
「どちらというと元の場所へ戻るだけでなく前にも進めるということですか?」
「ああ、行きたいのはどっちだ?」
「サニー様、ノア様! 母がいる奥へ進みたいです!」とアンジュ。
「マスター、それでいいのか?」
「ボクはここの事情を知らないのですが奥に行っても問題はないのですか?」
「そうだな。問題しかないともいうが問題ないともいう」
「それは……」
「仕方がないですね。吾輩が説明いたしましょう。黒曜石の洞窟は特に問題はないのですが、この先に封印されている者が放つ毒のようなものがノア様たちには害となります。吾輩がそれを吸収しているので今のところは安全ではありますが、封印されている者の近くにいけばいくほど毒の濃さは増しますので危険になる可能性があります」
「回りくどい言い方だな。要するにシャブランがいれば安全を保障するということだ」
「そうなんですか。うーん。ラルムが話し合いをすると言っていたから、ラルム待ちではダメかな、アンジュ」
「そうですね……」
「マスター! ラルムがいなくても問題はない! 進もう!」
「サニー様がそういうのであれば奥へ進みましょう!」
サニー様もシャブランも少し歪な笑顔を見せる。笑顔をみせようとして失敗したかのような表情。
「クライネ・ヴォルト!」とサニー様はラルムが使うバリアで守られたような魔法を使う。
「どうだ? これの中にいれば安全だ」とサニー様はニコッと笑い「ツェアシュテーレン」と唱え何メートルもある壁を一撃で壊し、奥へと続く道を進んでいく。
バリア内は少しスモークがかかっており周りの景色が少し見えにくい。ルミエールはバリアの上で光っているので明るいというより眩しい感じがする。黒曜石の洞窟を進んでいくと、生暖かかった空気がだんだんと涼しくなっていく。更に歩いていくと鳥肌が立つほどの寒さになっていく。
「ノア様、着きました! すーごっくん。実に良い味……ではなく空気ですね」とシャブランが伝えてくれるがバリア内は少しスモークがかかっているので何も見えない。
「マイネ・ヴォルト、メンシュリヒ・アンパッソン」とサニー様が唱えるとバリアが消え、目の前には来るものを拒むかのような鋭い氷の山が聳え立っていた。
「お母さま!」
アンジュはそういって走り出す。
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