宝の山の匠ドワーフ⑧ アンジュの意思の強さ
ドンガラガッシャン。
「あら、ぶつかってしまいましたわ」
この声はアンジュ?
目を開けると知らない天上。そっか、ドワーフの街に来ていたんだった。最後に行った場所からの記憶がない。それより、アンジュの声がしたようなと起き上がる。
「ノアさま! 申し訳ございません。起こしてしまいましたね」
「アンジュこそ、すごい音がしたけど大丈夫?」
「はい、問題ありません」
「そっか、ならよかった」
「それでは急ぎますので失礼いたしますね」
アンジュは作り笑いを見せ小走りで去っていく。よくみるとアンジュは冒険に出るときの大きな鉄槌とランスを背負っている。
いつもより重装備な気がする?
ということはここから出ていくってこと?
やはりアンジュにとってここは居場所が悪かったのか。
さすがに一人で外に出るのは危険だ!
私はベッド横に置いてあった装備を身に着け、アンジュを追いかけることにした。しかしどこに行ったかわからない。こういう時は動物の鼻がいいかもしれない! そう思い、私は心の中で唄いシャブランに助けを求める。
「吾輩は犬ではなく猫なのですがね」とシャブランが現れ、ボウ・アンド・スクレープをする。
「そうなんだけど、他に人探しのお願いは難しいかなと思って」
「そうですね、吾輩が適任でしょう」
「それより、お風呂に入っていた?」
「猫は風呂嫌いな生き物です。入る訳がないです」
シャブランはそういうけど頭にシャンプーハットがついているし、全身泡だらけなんだけど。どうみても泡風呂に入っていた見た目をしているんだけど。本人がそれを隠したいなら何もつっこまないでいよう。
* * *
シャブランがアンジュを追いかけると黒曜石の洞窟へと辿り着く。アンジュは仮面のようなマスクをして封印がされた場所の奥にある壁を鉄槌で叩いていた。
「なんですか、この禍々しい空気は、実に旨そうです」
シャブランはそういうと大きく口を開け、空気を吸い込んでいる。シャブランのおかげで独特な匂いが消え、息苦しさもなくなった。
「シャブラン、ありがとう」
「こちらこそですよ。ご馳走様です」とシャブランはシャックリをして頬を染めニヤニヤとした表情をみせる。
「アンジュ!」と大きな声で呼んでみる。
「え? ノアさま?」
「ここで何をしているの?」
「……」
「もしかして、この先にいるお母さんに会いに行こうとしているの?」
「はい。先ほどグラン様とラルム様の話をこの子を使って聞いておりました。だから母が持っているというものを取りに行こうかと」
「アンジュ、ここは危険な場所みたいだからラルムと話し合ってからにしよう」
「嫌です。私がなんとかします。ノア様は危険なのでお帰り下さい!」
「危険なのはアンジュもだろう。帰るよ」とアンジュの腕を引っ張ってみるが全く動く気配はない。
「仕方がないですね、吾輩も手伝いましょう」とシャブランが私の手を引っ張るとアンジュが一歩だけ動く。
「私は帰りません!」とアンジュが大きな声で叫び、私たちを両手で突き飛ばし壁に激突する。するとその衝撃で壁が崩れ入り口がなくなってしまう。
お読みいただきありがとうございました!
次回もよろしくお願い致します!




