宝の山の匠ドワーフ① ドワーフの街『ユミルエルデ』へ
足をもつ生き物を通らせまいと聳える先端が鋭く尖った岩山群。高層ビルのような高さでどこが端なのかわからないくらい連なってみえる。
「ここがドワーフの住む場所なのか」
「はい、拠点といいますか、住む場所はいくつかありますがドワーフの長が住んでいる場所はここ『ユミルエルデ』といいます。私が生まれ育った場所でもあります」
「アンジュが生まれ育った場所なのか。じゃあ家族がここにいるのか」
「えっと、私の家族は複雑でして……今はここには住んでおりませんが昔は住んでおりました」
アンジュの表情が曇りはじめ、声のトーンも下がっていくのがわかる。この感じは……これ以上は聞かない方がよさそうだ。話題を変えなくちゃ。
「そうだったのか。ところでこの岩山はどこまで続いているだろうか」
「この岩山は『ラミアバオホ』というヴァンピールの集落を囲っているのだよ。そうだな、これは説明をするより実際に見た方がいいだろう」
そうエトワールが答え、会話を返す間もなくエトワールに後ろから抱えられ空高く飛んでいた。空から見ると岩山は大きな円になっており、その中は黒い森になっていた。黒い森は薄黒い霧もかかっている。もし自分が鳥だとしたらこの森には近づきたくないだろう。そんな毒々しい感じを受ける。
「このように外からみると薄気味悪いかもしれないが実際に降りると全く異なる景色が広がっている。ここはオレの故郷だ。ノアにオレの街を案内させてくれるかい」
「ああ、ドワーフの件が終わったら是非お願いするよ」
「是非、そうさせてくれ」
エトワールはそういうと私を優しくギュッと抱きしめてから元居た場所へと戻してくれる。地に足が付き地上に残った二人を確認すると、アンジュは目をウルウルとさせながら悔しそうに固く唇を噛みしめ、ラルムは腕を組み仁王立ちをしている。アンジュの心情はなんとなく理解できるがラルムのその状況はどういうことだろう。
「ちゃんと空気読んで!」
「ラルムは心を読まないでもらえるか」
「ぶー」
「なんだよ、それは」と思わずため息をついてしまう。
とにかく今は『アルコンスィエル』を集めることだけを考えよう。ダンジョンでのモンスター討伐やアイテム収集、資金集めをしてからアンファングの近くにあったドワーフとヴァンピールの長が住む場所へやってきた。
ちなみに今回の防具、衣服はジェンマが用意してくれた。ドワーフは武器や防具は強力で貴重な物、装飾は煌びやかで豪華な物に惹かれる傾向があるそうなので身に着けている物が眩しく重かったりする。ちょっとした筋トレをしているようだ。
そして全員で動くのもということで今回の向かう場所に合わせ、ドワーフ族のアンジュとヴァンピール族のエトワール、ドラゴン族のラルムと一緒に旅をすることになった。旅をはじめると他の仲間であるルヌ、アムール、ロゼがこっそり付いてきていたがラルムに見つかり「これ以上後を追うようならドラゴンの姿になったローザに丸呑みしてもらうけど?」というとルヌ、アムール、ロゼは振り返り哀愁漂う背中をみせアンファングへ帰って行った。
そんなこんなで今、ドワーフの長に会いに行くところだ。物語でよくみるドワーフの印象通りだと小柄で髪や髭が長いイメージだったが、ここ世界ではどんな種族なのか楽しみだ。とか考えていると滝のような水が直撃して、目の前が真っ暗になる。
「いえーい! 妖精つっかまえた!」
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