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唄の魔法編② ~病気を癒す魔法~

 ラルムに案内された部屋にはベッドに寝たきり状態の男性がいる。顔は浮腫み荒い息をして苦しそうな様子がわかる。部屋の中はアンモニア臭が漂い外傷ではないことがわかる。


「ノア、そこにいる患者さんの病名はわからないがナニカがカラダを蝕んで、日に日に容態が悪くなっているらしい」

「ああ、僕の祖母が同じような匂いをしていたからなんとなく状況はわかる。けどボクに出来るかどうか……」


「この世界では目でみえる怪我を治す魔法は当たり前にあるが、内側の目ではみえない病気を治せる魔法はないといっていい。傷のように治す場所が特定できないと難しいらしい。ちなみに毒や魔術を回復するのは出来たりするんだけどね。ノアに期待している訳じゃなくて、試してほしいだけなんだ」

「わかった、やってみる」


 私はさっきと同じ推しの曲を唄ってみるが変化はみられない。推しの曲をいくつか唄ってみるがやはり変化はみられない。


「ノア、ありがとう」

「もう一度だけ唄わせてくれないか」


「わかった」


 この患者さんはおばあちゃんと同じ腎臓の病気だとしたら、腎臓を治すイメージをすればもしかしたら? 唄で怪我をさせることはないと思うからやらないよりやってみる。私は推しの曲を唄うことにした。





* * *

「ノア、ノア~!」


 あれ? ラルムの声がする? 私は何をしていたんだっけ?

 なんだか冷たいような?


「ノア!」

「ラルム?」


 目を開けると涙を流すラルムの顔がみえる。そうか冷たいと感じていたのはラルムの涙か。あれ? なんでラルムが泣いていて、天上がみえるんだっけ?


「ノア、覚えていないの?」

「えっと……」


「患者さんの病気を治そうと唄っている最中に急に倒れたんだよ?」

「そうだったのか。迷惑をかけて申し訳ない」


「ごめんね、無理なお願いをして。謝るのはこちらの方だよ。まさかこんなことになるなんて」

「ボクもこうなるとは思っていなかった。それで、なにか変化は……ある訳ないか」


「いや、症状はよくなったらしい。治ったというよりは回復したという感じだとは思うけど」

「それはよかった。ちなみにラルムは鼻がいいんだっけ?」


「え? まあ、いい方かな?」

「じゃあ、患者さんの匂いは嗅ぎわけられる?」


「そうだね、感じ取れ過ぎるから制御している感じ。だからノアたちと同じ嗅覚だと思う」

「そうか。ボクは病気のことは詳しくないけど、匂いで病気がわかる場合があるから匂いを判断して回復魔法や病気の元を攻撃? 壊すとかしたら回復するような気がする。これはボクの意見だからそうなるという保証はないけれど」


「そうなんだ。僕も詳しくはないからその話をしておくよ。今はゆっくり休んでいて」

「ああ、ありがとう」




“おめでとうございます。特殊スキル『想い』がレベルアップしました”

 と声が聞こえてくる。

お読みいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願い致します!

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