唄の魔法編① ~癒しの魔法~
ラルムとの待ち合わせ場所は街の診療所の前。朝から多くの人が並んでいる。
「おはよう、ノア! 今日はいい天気だね!」
「おはよう、ラルム。 雲一つない空はまるで海のようだね」
「今日もノアって感じだね、うんうん。それでね、今日はここでやってみることは唄でどのくらいの治癒が可能かを試したいと思います」
「ここで? ボクの力は自分でコントール出来ないんだ。だからその状態では危険だと思う」
「でもさ、魔物には攻撃になっちゃうでしょ。そうすると人にやってみるしかないんだよ。それに出会った時にいったけど、僕は回復魔法を得意とする魔法使いだから安心して!」
「そういえばそういっていたな」
「あの時はその役割が必要枠だと思っていったけど、ご存じの通り魔法は全般に使えるからね。安心して! そう言い忘れたけど。この世界で回復系の魔法を使えるものは少ないんだ。この世界には女神さまがいて、女神さまからの祝福が与えられた者しか使うことが出来なんだよ。しかも回復の度合いが人それぞれでね、女神さまから与えられた素晴らしい能力なのにランクがつけられて扱いも変わってくるんだよ」
「そうなのか、色々と複雑なんだね」
「ちなみにそれは人の話であって、僕のような種族ではまた話が変わるんだけどね。ということで早速、試してみよう! もうここの人には話してあるから」
ラルムと私が建物の中に入ると、足に擦り傷がある少年が半べそをかいて座っていた。
「早速だけど、唄ってみて」
「わかった。やってみるけど……」
「わかっている、僕も準備はしておくから」
「わかった、ありがとう」
私は「HeArT~アナタのことを想う~」という曲を唄う。ちなみに私がいた世界の曲を唄ってもリリックは私の世界の言語になるらしく、この世界の人には日本人が外国語を聴いている感覚になるそうだ。少し残念なのはリリックが持つ言葉の意味が伝わらないということだろうか。
「お兄ちゃん、傷が治ったよ! もう痛くない、ありがとう!」
少年は元気よくピョンピョンと何度もジャンプする。
「ラルム?」
「僕は何もしていないよ、ノアの力だよ」
それから数人の怪我人、複数にと同じ曲を唄うが傷の治りが悪くなってくる。もしかしたら曲によって変化があるのではと思い、私は「Jewelry」という推しの曲を選択し、なんとなくゆっくりめに唄った方が優しい感じになるかなと思い、BPMを下げて唄う。すると傷跡も残らずに治る。
曲によって違う? そんなことがあるのかな?
「僕は最初の曲と今の曲では唄い方? 感情の大きさ? なんというのかな。ノアのオーラの色や大きさが全然違っていたんだよね」
「オーラ? 推しの曲だと推しへの愛みたいな感情もプラスされるとか?」
「推しくんは愛されているんだね、愛のパワーとかほっこりするね。そしてノアからの愛とか羨ましいね」
「そういわれるとなんだか恥ずかしくなってくるな」
頬に両手をあてると自分でも顔が火照っているのがわかる。なんだか色んな意味で恥ずかしいけど、推しへの想いと感謝はどこへいっても変わらない。今の私がいるのは推しがいたからだから。
「照れて赤くなるノアもなんだか可愛いね。僕もノアのそんな人になりたいな、なんてね。じゃ、次はね!」
ラルムは私の手を握り、別の場所へと案内してくれる。
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