ただいまという場所があること
ラルムはスライムたちが胸に定着すると男性の姿から女性の姿へと変化していく。
「さて、記憶の回収おーわりっと」
「あんなにバラバラに隠したのに見つけたっていうのぉ?」
「僕のスライムちゃんたちはね、とても優秀でね。僕の匂いや魂を見つけられちゃうんだよ。とっても可愛いでしょ?」
「あたし……殺されちゃう」
「ローザも僕らと一緒に来ればいいよ」とラルムはローザの手をギュッと握る。
「えぇ? なんてぇ?」
「フードル、アンファングまでお願いできるかい?」
「お任せ下さい、ラルム様」
ここに来た時のようにフードルの転移魔法でアンファングの草原に到着する。急ぎの用事があるとのことでフードルはそのまま帰って行く。
「えぇ? ここはどこぉ?」
「ここはアンファング、東側だよ」
「うそぉ? 東ってあたしたちは入れないんじゃ?」
「ドラゴンの姿ではダメだけど、人の姿では問題ないよ、多分ね」
そう。お化け屋敷の調査クエストの時にブルードラゴンが人に危害を加えたという理由で今は上空を飛ぶことさえ許されていないのだ。もちろんあの時はケガ人すら出なかったというのに噂話が悪い方に大きなってしまった。
そして、私たちも空を飛んで旅にいけなくなったということでもある訳で。やったことには後悔はないけど、やり過ぎたのかもというのはあるので少し反省するべきなのかもしれない。
「人の姿のままでいなきゃいけないってことぉ」
「そういうこと。驚いて尻尾すら出したら何が起きるかわからない。もしかしたら匂いでバレるかもしれないし、誰かの魔法でバレるかもしれない、話し方や立ち振る舞いでとか……」
ラルムは少しだけオーバーに説明している。ローザのリアクションが面白いのかあることないことをいってはニヤニヤとしながら話している。
いつものラルムで安心するなと思っているとラルムは私の心を読んだのか、こちらを向き内緒のポーズをしてウインクをしてみせる。
ラルムとローザの会話が落ち着き、私が利用している宿屋へと向かう。とりあえず、ローザは守るためという名目で一緒に旅をするメンバーとなった。
宿屋に着くといつものメンバー、ルヌ、アムール、アンジュ、エトワール、ロゼが宿屋の一階にある私がウェイターをしている食事処で食事をしていた。五人は私を見つけると走ってきて「おかえり」と出迎えてくれる。私は「ただいま」といった。
今の私の帰る場所はここなんだと嬉しく思った。
***
それから数日が過ぎ、所持金も底をついたので近場でモンスター退治のクエストをしていると、今まで雲一つない青かった空が雲で覆われ灰色の空に変化していく。雨風はないが雲と雲の間を雷が走る。
思わず耳を塞ぎたくなるような雷音が鳴り、空が真っ白に光ると「きゃああああああ!」という声が聞こえてくる。
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