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七つの海のマーメイド⑥ ノアの唄声

 人魚たちはソロで唄っていたが、それぞれのソロパートが終わるとハーモニーを奏ではじめる。ネプトゥーヌスが私の耳元で「唄ってごらん」というので「無理です」と返すと「大丈夫、君の声に合わせるから。自由に声を出してごらん。君になら出来るよ」と言う。他の人魚たちも私に視線を向け、唄うのを待っている様子。


 私は見た目の声もノアそのものだけど、ノアの真似は出来ても私が大好きだったノアの表現力を出すなんて無理。ノアがどんな想いを込めて声を出していたかも想像なんて出来ない。ここに来てからそれをずっと悩んでいた。大好きな人の姿と声なのに私は何もそれをいかせていないことに。


 ノアの唄っている姿、話している姿を思い出してみることにする。ふと、ノアが言っていたコトバを思い出した。



「誰もキミにはなれない。キミにしか出来ないことをキミらしくすることがとても大事だよ。勇気をもって思いっきりキミを出して楽しもうよ」



 そうか! 出来ないんじゃない、やらないとなんだ!

 そう! “私らしく”出来ることをする。



 私は大きく深呼吸をしてから推しの曲「キミイロ」を唄う。

 人魚たちの音に合わせて唄いたかった。けど今の私には音に合わせて唄うなんて難しすぎる。ネプトゥーヌスが自由にしても合わせてくれると言ったんだから、私が今できることを精一杯する。ただそれだけ!


 私が唄いはじめると音楽も唄声も合わせてくれる。今までに出したことのない大きな声を出し、私なりに想いを込めて唄う。目を閉じ、ノアのことを思い浮かべながら。唄いきってからそっと目を開けると海の色が虹のようなグラデーションがついた色に変化していた。


 何が起きたかわからず海の色を眺めていると、クジラの声が聞こえたと同時にクジラが目の前に現れ、ネプトゥーヌスを真っすぐとみてから泳いでどこかへいってしまう。


「ノア! やはり君の唄声はすごいな」

 ネプトゥーヌスはそういってから私を強く抱きしめる。


 私は状況が読み込めずにいるとラルムが話し出す。

「さっきのクジラはこの先で何者かに封印されていたんだよ。どんな魔法もどんな声も届かずだったんだけど、ノアの唄声で封印が解けたんだよ」

「え?」


「突然そう言われても困るよね。でも事実なんだ。理由はわからないけどノアの唄声は魔法のような力を持っているだよ」

「ボクにそんな力があるの?」


「ノアと一緒に過ごしていてなんとなく確信はあったんだけど、これで証明された!」


 まだ状況が理解しきれていないけど、ノアの声はすごいってことは私もよく知っている! ということでいいのかな? 私なんかでも何か出来るってなんだか嬉しい!


「アナタ様がわたくしを助けてくださいましたのね!」

 ライラックの香りと女性の声が聞こえたので振り向くと、唇に柔らかな温もりを感じる。

お読みいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願い致します!

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