七つの海のマーメイド⑤ 海のコンサート
音楽が聴こえはじめると殺風景だった景色が一変する。魔法の力なのか何もなかったはずの場所には煌びやかな装飾が現れ、光を放つ魚や動物たちは音楽に合わせて華麗なダンスをしている。そこに音楽隊が次々にやってきて、貝やサンゴを使った楽器に自身が楽器になる者、声を使って楽器の一つになる者、地上ではみたことがない楽器や聴いたこともない音でコンサートがはじまる。
三曲目の音楽の途中に六人の人魚たちが現れ、ステージの真ん中に竜巻のようなものが出来、その竜巻が消えると同時に人魚の王、ネプトゥーヌスがトライデントを持ち現れる。ネプトゥーヌスは誰にも染まらないと意思を感じるほどの真っ白な長い白髪を靡かせ、水中から空を見上げたようなキラキラとした青い瞳、巨大な筋肉、上半身は男性的なのに対し、下半身はしなやかで美しすぎる足で女性的である。
ノアとは違う魅力を持つ、ネプトゥーヌスに心を奪われる。ただそこに立っているだけなのにスポットライトのような光に照らされてみえる。実際にはないものがみえると錯覚するくらいに惹かれたのだろう。
ラルムは私の腕を引っ張り一度密着してから、腕を組み私の腕を強くギュッと握ると耳元で囁く。
「ノアの浮気者!」
ラルムは目をウルウルとさせながら上目遣いをして顔を真っ赤にしながら頬を膨らませている。可愛いなと思っていると指が勝手に膨らませた頬に触れていた。頬が元通りになったかと思うと、もう一度頬を膨らませておねだりするかのように顔を近づけてくる。さっきよりパンパンに頬を膨らませているので今度は両手で頬に触れてみる。ラルムはそれが嬉しかったらしく私の腕をギュッと握りながら頬をスリスリしてくる。
「ごほん、ごほん」と咳払いが聞こえてくるので振り向くと私たちのバカップルのような行動はその場にいた全員に注目されており、ネプトゥーヌスは話すタイミングを待っている様子。他は頬を染めながら見て見ぬ振りをしている者、期待の眼差しでガン見する者や、キュンキュンしている者など、とにかく大注目されている。
「すみません。どうぞ、続けてください」
自分でやっておきながらも恥ずかしさで誰とも目を合わせられないがとりあえずニコニコとして誤魔化してみる。ラルムはくっついたままだけど。
ネプトゥーヌスがトライデントを振り上げると辺りは真っ暗になる。すると光輝く生き物たちだけになり、まるでドローンの光のショーのようなステージがはじまる。光は音楽に合わせ、人魚たちの世界の物語を紡ぐ。物語が終わると元のステージに戻り、ネプトゥーヌスが私のところへやってきて手を差し出す。私はその手を取り、ステージの中央に連れていかれ、イルカの背中に腰を下ろす。
ネプトゥーヌスがトライデントを横に振ると音楽が奏ではじめ、音楽に合わせて人魚たちが唄いだす。
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