異世界コンビニ
私は転生の準備をするために海という空深くにある、空飛ぶコンビニに連れてこられた。
カランカラン。自動ドアについたドアベルが鳴り響く。
「いらっしゃいませ!」
頭には天使の輪っかがキラリと光り、背中には真っ白な翼を纏い、黄金の長い髪を靡かせた店員らしき人物がキラキラと眩しい笑顔で声を掛けてくる。
「いつもの……」と白い天使はボソリと喋る。
私は魂とカラダは昔のままで透けた見た目をしている。ここは年中無休のなんでも屋、コンビニというところだそうだ。お店のサイズは元の世界にあったコンビニより少し小さめの店内。コンビニといっても商品や棚などは一切なくカウンターと大きなモニターのような画面があるだけだ。
白い天使が「コンビニ、行く」といってここに連れてこられた。
「最近多いねー! 白の天使が一緒ってことは……そういうことか。こっちの世界ではいい人生が送れるといいね」といって金髪の天使は巾着袋を私の前に置く。
「えっと、これは?」と聞くと白い天使は金髪の天使を見る。
「はいはい。私が説明します」と金髪の天使は面倒くさそうにため息をついてから、この袋は異世界転生者に配られるセット用品でと商品の紹介と使い方を説明してくれる。
①記憶の小瓶
これは記憶を保持したまま転生するか、記憶を消去して一から人生をやり直すかを選ぶ薬。
②チート薬
自由に自分の見た目や年齢や性別、ステータスやスキルを選ぶことが出来る薬。
③適応の薬(赤と青)
これは転生先の環境に応じたカラダになるのと言葉の壁を無くす薬。
これを飲まずに転生してしまうと即死ぬという結末が起きることもあるようで重要な薬。
④自在の布
これは転生したい環境に合わせて服が変わるという便利な布。
⑤監視のブレスレット
これは転生先で神や天使が居場所を把握するために必ず身に着ける必要があるアイテム。
「他、欲しい、物、あれば、この天使、に言う。私、外いる」と白い天使はドアを開け飛んでいく。
白い天使がドアを開けた瞬間、突風が吹き荒れたと思うと目の前に星空が広がっていた。星と線で繋がった星座のような生き物たちが飛び、見たこともない生物たちが空を泳いでいた。彼らに触れたい、一緒に飛びたいと思い、両手を伸ばす。
すると「なんだ、飛び、たい、のか?」と白い天使は話しかけてくる。
「うん! 飛んでみたい」と答え、天使に連れて行ってくれと両手を伸ばす。
「自分、でも、飛ぶ、ことは、出来る。が、私が、手を、貸して、やっても、構わん、ぞ」と目線を真っ直ぐに向け、そっと手を差し出してくれる。そんな可愛い天使の手を強くぎゅっと掴む。白い天使は空高く舞い上がる。
私はこんな純粋な生き物に会ったことがない! これからも一緒に暮らしたい! その時、そんな思いが心の中いっぱいに広がった。
お読みいただきありがとうございました!
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