お化け屋敷の調査クエスト④ フィオーラの願い
折角、外観をキレイにお掃除したのに中をこんなに廃墟のようにしてしまうなんて……なんだか勿体ないような。いやいや! そもそも掃除をするクエストじゃないんだからそこは気にするところではないよね。
エトワールの魔法で最短距離で最上階に行くルートが出来たが、どうやって上がっていけばよいのだろう。エトワールは飛べるけど他の皆は飛べないから結局、階段を上がっていくのでは?
「ふふふ。ノア、僕のことを忘れていないかい? 僕の背に乗って上がればいいんだよ」とノアは得意げに微笑む。
「ラルムは私が言ったこと聞いていたの? 今の状態ではドラゴンの姿にはなれないし、翼を生やすのが限界だよ」とソレイユはヤレヤレと首を左右に振り、ため息をつく。
スケルトンたちはエトワールが壊した天井の瓦礫の下敷きになっていたが、バラバラになった手足が別の手足とくっつき再び動き出している。
「ここは天井全て壊してしまうか。そうすれば主とやらも勝手に落ちてくるだろう」とエトワール。
「いや、それは建物が崩れてしまうのでやめ……」
パフンっ! と私の顔に何か柔らかいモノが落ちてきた。目の前が見えないので手探りでそのモノを掴む。なにやらとてもフニフニするなと思っていると「キャー」と女性陣の声が聞こえてくる。ん? このフニフニ感はもしかして?
「これ以上、この屋敷を壊すんじゃない! スケルトンたちを傷つけるな!」と声が聞こえてくる。
「ノアたんのエッチー」
「ノア、今はそんなことしている場合では!」
「ノアさま、ハレンチですー」
やっぱりこれは、胸かーーー‼
「こ、こんなことされたら……あかちゃんができちゃうじゃないか。お前、フィオーラと結婚するしかないな」とフィオーラは顔に胸をぎゅーっと押し込んでくる。く、苦しい。
「ごめん。謝っても許してもらえないかもだが、ワザとではないんだ」とフィオーラをゆっくりと下ろす。フィオーラは私の顔をじっと見つめて、ハッとなってから苦虫を噛み潰したような表情をみせる。
「お前、男か! 男は好かん。なんだ? お前たちもカーラの力を狙ってきたのか?」
「カーラの力? それは魔法のこと? それとも魔法具かなにか?」
「お前たちはカーラの力を知らないのか?」
「ボクは知らない。誰か知っている者はいるか?」と聞くと皆、首を横に振る。
「じゃあ、何のためにここに来た?」
「ここに来た者が記憶喪失になる事件が起きていると話があって、それで調査に来たんだ」
「ああ、あの冒険者たちはカーラの魂を盗もうとした。だから記憶を消してやった」
「カーラの魂を盗む?」
「カーラはわたしの大事な人だ。だったが正しいか。嘗て、わたしはここで暮らしていた。父はこの街で一番の金持ちで妬まれ殺された。わたしは永遠に生きられるという人魚の肉を食べさせられ、ずっとここに閉じ込められている」
「え? アタシは十数年、ここに住んでいるけどそんな話は聞いたことないし、ここにお屋敷があるのは初めて知ったんよ」とルヌ。他の者たちも知らないと言う。
フィオーラが嘘を言っているのか、街の人達が隠しているのか。どちらなのだろう。
「ソレイユ、この話は知っている?」とラルム。
「いいや、知らない。人魚の肉の逸話はあったが、大昔の話だと思う」
そうよね。ソレイユが知らないのであれば確実だものね。でもそうすると?
「わたしの話は嘘じゃない!」とフィオーラが大きな声で叫ぶと、フィオーラの記憶がみえてくる。
今とは異なる街並み。母親を早くに無くし父がフィオーラを溺愛する姿。そこに一人の少女が養子に迎え入れられ、一緒に暮らす様子。父と養子の少女が殺され、フィオーラは実験として人魚の肉を食わされる。時が流れ、フィオーラの元にスケルトンたちが集まり一緒に暮らしていく。それからまた時が経ち、少女の墓荒らしに来る冒険者たち。少女の魂は最上階のガラスの棚の中に入っているのがみえる。これがカーラってこと?
目を開けると涙を流しているフィオーラが立っていた。
「フィオーラ、事情はなんとなくわかった。ボクらに何かできることはあるか?」と聞くと「カーラのネックレスを見つけてほしい。誰かに盗まれてしまったんだ。それだけでも罪深いと言うのにカーラの魂まで盗もうとしている」と言った。
このクエストを攻略するにはフィオーラの願いを叶える必要がある。私たちは手分けしてカーラのネックレスを探すこととなった。
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