お化け屋敷の調査クエスト① ルヌの精霊魔法
資金稼ぎということでFランクのクエスト攻略に出掛けようと準備をしていると、ラルムが皆に飴を配りはじめる。ラルムは大きなペロペロキャンディを口いっぱいに頬張っている。
「ラルム、その大量の飴はどうしたの?」
「これね、僕が小さいからかな? おじちゃんやおばちゃんが“小さいのに働き者だね。飴ちゃんあげるわ”って感じで会う人会う人がくれたんだよ」
「この街はね、小さい子や可愛い子をみると飴ちゃんを渡してくる人が一定多数おるんよ! アタシもね、ここに来た時にめっちゃもらったんよ!」とルヌ。
「そうなんだね! 街の皆がそれぞれ飴袋を持っている街と考えるとなんだか楽しい街だな」
「そうなん、そうなん! いい街なん」とルヌはニコッと笑う。
「いい街だね」と微笑み返す。
飴を持ち歩くとかなんだか毎日ハロウィンみたいだね。それより飴ちゃんといえば大阪のおばちゃんのイメージもあるような? でもここではおじさんもくれるのか。 似ているようで似てない感じが面白い!
「ノア! ハロウィンとオオサカって何?」とラルムは目をキラキラさせている。
「ラルム! 人のココロの中を読まないでほしいな」
「でもね、でもね。好きな人のことね、いっぱい知りたくなるでしょ?」
「その気持はわからなくもないけど、常に読まれるとさすがに……」
「……わかった。気をつけるから、ハロウィンとオオサカのこと教えてほしいな、お願い」
「わかった。クエストが終わったらな」
「うん! ノア、大好き」とラルムがジャンプハグをしてくる。ラルムを抱え、頭をポンポンと撫でていると皆の視線を感じる。
このパーティは皆、撫でられるのが好きらしい。なんだか動物みたいで可愛い気もする。私も懐かれたりしたいからちょっと嬉しかったりするわけで、なんて考えているとラルムはまたココロを読んだのか私の胸にスリスリとしてくる。皆の視線がチクチクと突き刺さるような。ヤキモチから殺気に変わったかのように痛い。モテるってこういうことなのかな? 本当に? 私が思っていたのと少し違う気がする。物事はそう上手くはいかないものよね。
ラルムの見た目は可愛い女の子で、私は女の子と仲良くしたいのに。見た目が男性となると迂闊に女性に触れられない。けど向こうから来たらスキンシップやキャッキャとしたいのにそれが出来ないもどかしさよーーー!
***
今回のクエストは『街から少し離れた場所にある屋敷の調査』だ。もう何年も人が住んでいないらしく廃墟になっている場所で人の声が聞こえたり怪奇現象が起きているらしい。何人もが調査に行ったが、調査に行った記憶を消されて戻って来たようだ。誰かがいるのはわかっているが今のところどの冒険者も見つけることが出来ていない。
ちなみに今回からジェンマがデザインしたクエスト用の衣装を身につけている。外側はダークグレーで内側はそれぞれのカラーの裏地になっているフード付きマントをお揃いで身につけている。マントにはジェンマのブランドのマークがスポンサーのようにデカデカと貼り付けられている。衣装提供をしてもらっているので文句は言えないけれど、ちょっと恥ずかしい感じがする。
ということで今はその屋敷の前にいる。屋敷は人里を離れた場所にあり、屋敷は森で囲まれている。街は中世のヨーロッパのような建物が並ぶが、このお屋敷はゴシック建築の豪邸。人の何倍もある高さの塀が囲い、正面には大きな門がある。中に入ると、屋敷の庭は私たちより背が高い雑草で覆われて、建物は蔓植物に包み込まれていた。
「さて、さっさと燃やしてしまおうか」とエトワールが炎魔法の詠唱をはじめる。
「待ってくれ! 燃やしたら屋敷だけでなく後ろにある森まで炎が広がってしまうかもしれない」
「では、氷魔法で粉々にするのはどうだ!」とエトワールは氷魔法の詠唱をはじめる。
「待ってくれ! 凍らしたら小さな生き物が死んでしまうかもしれない。それに冒険者たちの記憶を消している誰かを殺してしまうかもしれない」
「じゃあ! 私の風の魔法で刈ってみるのはどうなん?」とルヌ。
「ルヌ、精霊魔法が使えるようになったのか」
「うん。ノアのおかげだよ! 上手く出来るかわからないけど、やってみるね」とルヌは詠唱をする。すると、ふわっとした優しい風で雑草を優しく刈っていく。
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