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不思議な街・エトランジュ⑦ 人魚姫が持つ秘宝

 壁も床も空も何もかもが真っ白な世界。真っ白だけど眩しさはなく、お日様のような温かさと優しい石鹸のような香りがしてなんだか居心地が良い空間。人の姿に変身したラルムと人の姿になり座り込んでいるソレイユと私しかいない? リルとルイは?


「あぁ、ここは僕が作った閉鎖空間で僕の許可なしではここから出れないし、入ることもできないよ。僕らだけで話したいことがあるからね」とラルムはウインクをする。

「そうなのか、理解した」


「ラルム、何故ここに?」と震えた声でソレイユが問う。


「やあやあ! ソレイユ! 家出をしたと噂を聞いていたが、まさかこんなところでこんなことをしてるとは驚きだね。ソレイユの能力を知っているとはいえ、僕が魔法にかかるなんてね」とラルムはから笑いをする。

「もう嫌なのよ、唄は歌いたい時にしか歌いたくない。もう好きでもない唄なんか歌いたくなかったのよ」


「へぇ、そう。それより、僕に何かいうことあるでしょ?」とラルムはニコニコしながらも目が笑っていない様子。

「……申し訳ありません」とソレイユは座ったまま両手を付き、頭を下げている。


「それだけじゃ、わからないな」

「禁断の魔法を使用して、本当に申し訳ありません」


 禁断の魔法? それが人々を惑わしていた魔法?


「罰として君が持っているイヤリングを渡してもらおうかな」

「これは……」


「そうだね。それは君たち人魚族が管理している秘宝の一つだ。でも君は禁じられた魔法を使って、それを解いてもらった対価を払わなくてはならない。でしょ?」

「……」


「君がそれを渡せないならネプトゥーヌス様にこのことを話して、対価をもらうことにするよ」

「それは! やめて! 待って! 待って……下さい」


「じゃあ、渡してくれるね?」

「はい。だからお父様には言わないで下さい」


 ソレイユはそう言って耳に付けていた赤いイヤリングを外しラルムに渡そうとした瞬間、真っ白な空間が壊れ、私たちは湖に落とされてしまう。湖から顔を出すと空に緑と青の大きな影がおり、スッと去っていくのが見える。


「シルフとウンディーネ?」とラルムがその影に向かって言うと「あらあ! アナタ詳しいわねぇ! シルフとウンディーネの力を使ってやっとそのバリアを壊すことができたのよぉ」と声が聞こえてくるが姿が見えない。


「誰だ!」とラルムは叫ぶ。

「はじめましてぇ! アタシは桃色仮面よぉ! 隣にいるのが蒼の騎士よん!」と細マッチョで長身、フワフワの桃色の髪をポニーテルにして仮面をかぶる男性? とゆるフワの青髪で同じく仮面をかぶる男性が空を飛んでいた。


「ピーチとノクティス!」とリルは声をかける。

「リルったらぁ! もうぉ! おバカさんねぇ! なんで本当の名前で呼ぶのよぉ!」と怒りモードのピーチ。

「だから、こうなると言っただろう」とため息をつくノクティス。


 この寸劇はなんだったのか。

「あの! リルとルイの知り合いと言うことはピーチさんもノクティスさんもこの世界の人ではないということですか?」と私は何も考えずアホなこと言ってしまう。おかげで誰も何も言わず静かすぎる沈黙が続く。



 ラルムはパチンと指を鳴らすと、ソレイユがその場に倒れ込む。

「これは記憶を消して眠らせているだけだから気にしないで! それより今の話はどういうこと?」

「えっと、ボクがいったことは想像の話であって? 事実ではないから気にしないで?」と返す。だって本当に自分でも変なことをいったと自覚をしているから。


「私が話します!」とルイがラルムに事情を話す。この作戦のこと、自分たちが何者なのかを。話が終わるとラルムは少し頭を抱え考え込む。


 まぁ私からするとよくあるファンタジーの話だからあるある! くらいの感じなんだけど。ここの世界で暮らす人には難しい話よね。なんて考えていると。


「ノアがそういうなら頑張って理解するようにするよ」とラルム。

「時間がある時に僕の昔話でもするよ」というとラルムはニコッと笑う。


「そういえば、このタイミングで聞くのもあれだけど。イヤリングってラルムが持っているの?」と聞くと「いや? 僕は持っていない? どこにいったんだろう?」と返ってくる。


 私たちの会話を聞いていたピーチがこちらを向いたまま後ろに下がっていくのがみえる。


「ピーチさん?」と声をかけると「アタシたちにも事情があるのよぉ! このイヤリングはもらっていくわぁ」と言って桃の花の辻風が吹き、花が舞い上がるとピーチとノクティスの姿が消えていた。


「ピーちゃ!」

「ノクティスさま!」

 リルとルイが声をかけるが二人からの返事はない。


「彼らはどこに消えたんだ?」

「今の魔法は何?」とラルム。


「ごめん!」とリル。

「ノアさま、ラルムさま、申し訳ございません」とルイ。


「ボクらが二人を探してくる」

「私たちが責任をもって、お返ししますので」

 双子はそう言って深々と頭を下げてから翼を広げ飛んでいく。


「ソレイユのイヤリングは『アルコンスィエル』の一つなんだ。あの二人はそれを知っているのか?」とラルムは眉間にシワを寄せる。

「二人を信用して待つしかないな」


「そうだな」


 リルとルイのコトバ、エトランジュの偽りの街をみて

 『目にみえるものが全てではない。自分の目でみて、耳で聞いて、手とココロで触れて感じてみえてくるものがある』そんな推しの言葉を思い出した。

お読みいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願い致します!

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