不思議な街・エトランジュ⑥ 唄は世界を救う!
「おバカさーん! 目障りだからそのまま消えちゃいなさい! あはは」とソレイユは勝ち誇り高笑いをしている。
え? 双子ちゃんが捕まっちゃった? どうすれば助けられる?
そんなことを考えていると。
リルとルイの球体がパーンと割れ、リルが「シエルエトワール・プティ・ユニヴェール」と唱え、真っ暗な闇の空間を作り出す。ルイが「シエルエトワール・エトワール・ブリヤントゥ」と唱え、流れ星が一つ一つ大きな光となって辺りを真っ白な光で包み込む。
「なんで魔法が効かないのよ! ま、眩しい!」とソレイユは目を閉じ、両手で顔を隠す。
「ノア、今よ(今です)」と双子から唄う合図出される。
リルとルイの作戦通りに事が進んでいる。そう私はリルとルイの合図で唄を歌うように頼まれていた。私がこの街で唄っていた声を聴いて、ソレイユの声に対抗できると言われたのだ。
そして今回、私は唄う曲が決まっていた。いつもの推しの曲で「shining sun」というBPMの高い曲。輝く太陽を表現した明るく元気のある一曲。太陽に負けないくらいの笑顔と大きな声で唄いはじめる。この選曲にした理由はここ来る前にソレイユの弱点が太陽の光と聞いていたから。多分、どの曲を唄ってもよかったのかもしれない。けど偶然にも推しの曲でドンピシャのものがあったという訳です。さすが推し様です!
私は「この街を本当の笑顔溢れた街になってほしい」と願いを込めて唄い上げる。
すると太陽の光がこの街に降り注ぎ、街を囲っていた壁が消滅し、街の姿は変わらず、人々の姿は元の姿に戻っていく。そして正気に戻り、闇の世界から抜け出せた喜びなのか太陽の光をみて涙を流す人々の姿が見える。
「な、なんで魔法が解けちゃうの? なんで?」とソレイユは悔し泣きしながら水をバシャバシャと叩きまくる。
「目に見えるものが全てではないよ」
「見たものだけで判断するならアナタの目は節穴です」
リルは黒の翼を広げ黒のオーラを纏い、ルイは白の翼を広げ白のオーラを纏い、舞い上がる。
「ボクの見た目は光のように真っ白だけど、使う魔法は黒魔法と炎魔法」
「私の見た目は夜のような藍色だけど、使う魔法は光魔法と水魔法なんです」
「キミは見た目だけで満足して、大きな勘違いをしていたんだ」
「アナタは表面しかみていませんでした。それは浅さを意味し、本質を捉えられていないということです」
「ど、どういうことよ?」とソレイユは理解できていない様子を見せる。
そうか。リルは見た目が白だけど黒の魔法使いだから黒の攻撃が効かなくて、ルイも見た目が藍色だけど白の魔法使いだから白の魔法攻撃が効かなかったのか。
そして、この街は表面をよく見せることで皆のココロを惑わし、悪いものをみせないようにした結果、逆にココロの闇は深くなっていたのね。その闇を誤魔化すために魔法に魔法を重ねて嘘の上塗りをしていっていた。けど、偽りのものは所詮偽りのままだものね。
人々が笑顔でいる中、眉間にシワを寄せたものがいたとして。しかし自分だけが浮いている、不満を持っているというのが間違いだと思わせる。集団心理を利用して罪悪感を植え付けるなんて卑劣すぎる。
「お! 皆さんお揃いで! そしてお疲れ様でした! ということでこんなタイミングの登場で失礼しますよ!」と元の姿に戻ったラルムはドラゴンの翼が生えた状態で飛んでいる。
「ラルム、正気に戻ったのか!」と声をかけると、ラルムはいつものウインクとピースと返してくれる。そして私の手を掴み、ニコッと笑ったかと思うと表情がいつものタレ目から怒り目に変化する。そして「クライネ・ヴォルト!」と呪文と唱え、気がつくと真っ白な空間に飛んでいた。
お読みいただきありがとうございました!
次回もよろしくお願い致します!




