それぞれの想い(前編)
ラルムは涙を流している私の頭を優しく撫でながら「皆、話したいことがあるようだよ」と言った。ラルムにはそれぞれの心の声が聞こえていたのだろう。
「ア、アタシはノアたんに出会って苦手だった弓が使えるようになったん。それにまだ勉強中だけど、精霊魔法も少し覚えたんよ。ノアたんがいたから私、変われたんよ! だからその御礼もしたい、あとノアたんの側にもいたい。だからアタシも一緒に連れて行ってほしいん」とルヌは涙を流しながら話す。
ルヌはエルフ族の中で落ちこぼれと呼ばれていた。弓も魔法も使えない。可愛いだけが取り柄と言われ、エルフの国から追い出された。
ルヌは可愛いだけで色んな者から必要な物を与えられ不自由なく暮らしていた。しかしそれはエルフ族は美形が多いため、貴族たちがこぞって妻にと誘うためだった。ルヌは貴族からの求婚を拒否し、自分の力で生活することを選び、人の街で色んな職を転々としていたらしい。
ルヌは独特のフェロモンを漂わせているらしく、少し話しただけで恋に落ちてしまう。それが嫌で誰とも喋らずに生活をしていたようだった。そんな時にルヌの魅力にも反応しない、はじめて普通に接してくれる私に出会ったそうだ。
ルヌと話すようになり、その会話の中で弓を使えるようになりたいと言われた。私は元アーチェリー部なのでルヌに弓の使い方を教えてみた。彼女には変な癖がありそこを直し、コツを教えるとすぐに弓が上達していった。弓が上手に使えるようになると精神も安定しだすようで精霊たちと会話ができるようになり精霊魔法も使えるようになっていった。
「私もノアに出会えて自分の魅力に気づけたんだ。それに私の分身である蛇たちと力を合わせたら色んなことが出来るようになったんだ。ノアといたらもっと色んなことが出来る気がする。だから私はノアと旅をしたい。ノアのことは私が守る! そしてノアの唄声を多くの人に聴かせよう!」とアムールと分身である髪の蛇たちが笑顔をみせる。
アムールはゴルゴーン族。私の世界で言うメドゥーサと同じで見たものを石に変える能力を持つ一族。この世界ではその能力を買われ、モンスターと戦う戦士の一族として有名なのだが、アムールはその能力を持って生まれなかった。そのため剣のみで戦う戦士として訓練を受けていたが上手く行っていなかったようだ。そのため酒に溺れていった。
また本来、髪は蛇なのだがアムールの髪の蛇はいつもやる気がなくダランとしていた。ある時、常に酒を呑んで店に入り浸っていたアムールに声をかけた。アムールは寝ていたようだったので髪の蛇たちに声をかけてみた。
すると会話をした。話しかけてくれるのを待っていた! という感じで蛇たちは目を輝かせたくさんの話を聞かせてくれた。それからアムールと蛇も会話をするようになり、私が唄っていると蛇たちもマネをして唄を歌いだした。
それをみたアムールも私もと唄うようになった。自分に自信がなかった彼女に笑顔が戻りはじめ、一緒にステージにあがって唄うようになった。
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