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『幻の泪』とブルードラゴン

 仕事を終え、ラルムと店の外へ出る。店を出て他の店へ入ろうとするのだが見物客というか私たちに付いて来ている輩がチラホラとみえる。


「うん。これじゃ話すことも渡すことも出来ないよ。よし! 走るよ」とラルムは私の手をギュッと握って走り出す。さすがドラゴンというのか走る速さが異常で景色が流れる線のようにみえる。そもそもこの速さでは今どこにいるのかさえわからない。なんて思っているとラルムは背中から翼を広げ、私をお姫様抱っこしながら空高く舞い上がっていく。


「ええ! そ、空!」と驚き私は落ちてしまうのではないかと思いラルムに強く抱きつく。

「あはは。そんなにギュってされるとドキドキしちゃうよ」


「ああ、ごめんなさい」

「僕が君を離さないから安心していいよ。でも怖いならギューってしてていいよ」


「え、あ、はい! ありがとうございます」

「見た目は男性なのにすっごく女の子だね。なんだか可愛いなぁ」


「あああ、ごめんなさい。男性らしくしますね」

「いいよ。僕の前では本当の君でいてくれていいよ」


「え、は、はい。ありがとうございます」

「ねぇノアの本当の名前は何ていうの?」


「愛です」

「愛? 愛しているの愛?」


「はい」

「そっか。可愛い名前だね。そういえばさっきから敬語になっているよ。タメ語で話そうよ、ね?」


 なんだか色々と恥ずかしくて少しパニックです。友達にも名前で呼ばれたことないし、聞き慣れないから。可笑しな話、自分の名前忘れちゃうこともあるくらいに呼ばれなかったからなんだか不思議な気分。


「愛! 見て! ちょうど太陽が沈む時だよ! 地上からみてもキレイな景色なんだけど空からみるのもいいでしょ?」

「わぁ! スゴイ! こんな景色みたことがない!」


 空からみる夕陽は地上でみるより眩しくて遠くまで夕焼け空が続いていた。そういえば夕陽をみたのなんて何年ぶりだろう。夜の青と夕方のオレンジが重なり合って、太陽が小さくなると星々がみえてくる。空を見上げるというより見下ろしているわけだけど久しぶりに星空をみた気がする。


「せっかくなら、そういうのは心で話すのではなく口に出してほしいところだけどね」

「ごめんなさい。こんなキレイな景色をみせてくれてありがとう。なんか感動しちゃった」


 ただ空をみていただけなのに目から涙がこぼれてくる。そっか、毎日当たり前にある景色すら忘れていて、心が泣いているのかな。


「愛は魅力的だけでなく本当にステキな人だね。愛が泣くから僕ももらい泣きしちゃったよ」と言ってラムルが流した涙は丸い水晶なような石に変化して、光り輝いている。


「これって!」

「そう。これが、愛が探していた『幻の泪』だよ。この泪はブルードラゴンからしか生まれない、貴重なアイテムなんだ。美しい心の持ち主が近くにいないと生まれない、貴重な宝石なんだよ」


 幻の泪は私の手の上に落ちる。ラルムの泪はほんのり温かく優しい感じがした。

お読みいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願い致します!

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