ドラゴンが欲しい物、私の欲しい物
「なんだ? 聞こえないのか? チョウチンアンコウの頭部のイリシウムを寄越せ」とさっきと同じ声が聞こえてくる。私たちは声の主を探すため、チョウチンアンコウが来た洞窟の奥を探すが誰の姿もみえない。
「おい、お前等は耳が悪いのか? それとも頭が悪いのか?」とまた声がするがどこを探しても声の主が見つからない。
「ノアたん、きっと声の主は小さいんよ」とルヌは床に這いつくばって声の主を探し始める。
「わかりましたわ!」と言ってアンジュも床に這いつくばって探し始める。それをみたロゼも床に顎をつけ声の主の臭いがないかクンクンと鼻を使って探し出す。
なんか違う気もするけど、これだけ探しても見つからないとなるとやっぱり小さいのかも! といいつつ三人が床を探していることだし、私は天井や壁でも探そうかなと上を向くと視線を感じ、振り向いてみる。すると洞窟の入り口に巨大な目玉が見える。目玉はパチクリとしながらこちらをじっと見つめている。
「おう、ようやく気がついたか」と声の主、ドラゴンの声が聞こえてくる。
「やっぱ、床にいたんね」とルヌ。
「私は見えませんがどこにいらっしゃるのでしょうか?」とアンジュ。
「このメンバー以外の臭いは感じるのに場所がわからないっす」とロゼ。
と三人は四足のワンコ状態を保ったまま。
「おい、やはりお前等のおつむは弱いのだな」とドラゴンは大きなため息を付き、洞窟を振動させる。
「えっと、その入口に見えている方がしゃべっているんですよね?」と聞くと「ああ、それ以外誰がいる。話がわかる奴がいて安心したぞ」と細くなっていた瞳孔が丸く大きくなり、目をパチパチとさせてから洞窟から離れていく。
三人は私が入り口にいるといったので入り口付近の床を探している。
「皆、床には誰も居ないよ。喋っていたのは外にいたドラゴンだったんだ」と言うと、ルヌは顔を真赤に爆発させて両手で顔を覆い、アンジュはキョトンと不思議そうな顔をして、ロゼは立ち上がりクンクンと臭いを嗅いでいる。今更だけど天然キャラが多いパーティだったのかな? そもそも冒険に行くのに回復役がいないというのは大問題だから次の冒険時には回復役の出来る人を探さないといけないよね。
「ん? 回復役がほしいの? それなら僕なんてどう?」と青年の声が頭の中に直接聞こえてくる。
あれ? 私は声に出して喋っていた?
「いや、頭の中で喋ってる。けど僕には聞こえちゃうんだ。ごめんよ」
天使と同じ能力ってこと? しかもテレパシー?
「そうそう、そんな感じ!」
それで、君は誰なの?
「ん? 僕? 目の前にいるでしょ?」
え? 目の前にいるのは大きなドラゴン……君はドラゴンなの?
「うん。そうだよ。それよりお兄さんはお姉さんなの?」
えっとね、話すと複雑なんだけど外見は男性で中身というか意識が女性が正しいかな。
「なんか難しいな。心の問題?」
うんとね、天使と同じ能力なら事情がわかるかな? 私は異世界転生者なの。
「あーそういうことか。前世が女性の魂で転生して異性になったのか」
そういう感じです。
「し、師匠? 寝てるっすか?」とロゼの声が聞こえてくる。
そうだった。私とドラゴンの話は皆に聞こえていないんだった。
「ごめん。起きてるよ」
「ならよかったっす」
ルヌもアンジュも心配そうに私を見ている。
話す時は口に出さないとわからないよね。
「ドラゴンさん、チョウチンアンコウの頭部のイリシウムがほしいのか?」
「ああ。イリシウムはとある薬を作るのに必要なんだよ。それがないと仲間を助けられない」
「そうか、わかった。でも僕たちもイリシウム、幻の泪が必要なんだ」
「ん? 幻の泪だと? それはイリシウムではないぞ。イリシウムの代わりに幻の泪をくれてやる。その条件で交換せぬか」
「お互いの条件が合うようだし、それでお願いしたい」
「わかった。イリシウムは今すぐ必要でな。幻の泪は後日でもよいか?」
「ああ、問題ない」
「そうか。申し訳ない。ではまたそのうちに」と言ってドラゴンは翼を広げ飛んでいく。
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