入団テストの日 3
(くっそ〜、どうしたもんかな?)
完全に逃亡を許してしまい、追えもしない。
周りの人はみてザワつきはしても捕まえてくれるような人物はいなく、ただただ先程とは比にならないくらい視線が集中するだけの状況。
(もう少しスタッフいてもいいはずだけどな?)
トラブルに対処する係の人がいていいはずなんだけど、車の案内のとこにいた2人の大人、子供に代えてこちらにきてほしいといいたい。
「ちょっと、、いいですか〜〜?」
黄色い服と腕章をつけた人が俺のほうにやってくる、スタッフの人だ。
(あの子がよんできてくれたのかな?)
スタッフの側に一人の少女がいて、話しながら少しだけこちらに近づくと、邪魔にならないようになのか、この場から立ち去っていく。
できれば確認をとってお礼を言いたかったんだが、この距離はちょっと遠すぎる。
(また会えたときにでもいおう。)
「そこのきみ、申し込み用紙破られたんだって?」
すかさず返事をし意識をこちらにむける。伝えきれなかった分のお礼は、ぼくのプレーで返すとしよう。
「受付の人にはよろしくいっとくからね!」
対してやりとりに手間取ることもなく、スタッフに名前を名乗るだけで試験を受ける機会を再び入手することができた。これでまた待つだけの時間に戻ることができる。
ピエールにはいいたいことが沢山あるが、こんなトラブルもまるで伝説の1ページのようだと思えば悪くないな。
(このポジティブはお前の為じゃないからな。)
BLでショタ好きの人は、俺のこんな優しさ1つで興奮したりするのかな?などと暇すぎるあまりにどうでもいいことを考えてしまう。
「キミが申し込み用紙を破いてしまった子よね?笑」
俺は受付の列を並び終え、そのまま手続きを終了した。
もちろん暇つぶしも終わっている。
ちなみに、俺は大人の余裕だとしてあいつのことをちゃんとかばっておいた。あいつも今日という日は楽しみにしてただろう。
逆の可能性は低いと考え、俺も期待を胸に一足先に試験会場のフィールドに向かう_。
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あれから待つこと15分ほど、ついに参加希望者全員の受付が完了し皆が試験会場のフィールドに集まった。
つつがなくとはいえないかもしれないまでも、時間通りに受付は終了しており、恐らく全員が今ピッチの上に集められ説明をきいているだろう。
集まった人数は326名、4つのコートに振り分けられており俺は今Cコートの芝の上に座っている状態である。
こちらのコートには今81名の選手がいるが、試験の内容はいきなり際どいものというか、10mリフティングで早いものであれば、早速10分ほどアップしたら試験がはじまるそうだ。
かか
参加してくれてありがとう!!皆がんばろうな!
みたいな挨拶はほどほどに済まされ、アップの時間にうつる。
(意外と冷たいのな…?あっという間すぎる。)
俺は後半の1列目で少しの間座って待機することになったが当たりだろう。前半1列目のやつはプレッシャーもあってかなり難しいと思う。
(自信はあるが、、子供相手にこれはすごいな…。)
前半の40人のアップがおわり、俺らの眼の前に集められると1列目の20人が横1列目にならびはじめる。
みてるだけでも緊張が伝わるというか、本当に保護者同伴禁止して正解でしかない。
プロへの近道と考えるとしょうがないのか?
そんな疑問を抱きながら見学を続けていると、早速1列目のメンバーがゴールした。合格したメンバーは20人中7名となかなか渋い結果に終わった。
(あの顔見覚えあるな、名前思いだせたら良いんだが)
なかなかのボールコントロールで3人目にゴールし、またむこうで今度はこちらをむいて同じように1列に座らされている。
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うーん、結局むこうは俺の視線には気づくことなく2列目が終了し今回の合格者は12名、1人なかなか前に進めず諦めたやつがいてすこしかわいそうではあったが、これも場の雰囲気というやつだろう。
むこうからしたらもっと時間があればと言いたいかもしれないが、コーチのやつもあと2分でゴールするよう伝えるなどしてきただろう。
アップもほどほどに俺が後半の1列目(実質3列目)としてピッチの上に立つ。
俺のチート能力『頭脳明晰』を先程
使ったせいか今、おどろくほど集中できている。
(これで満に1つも落ちることはなくなったな。)
もちろんボールを当てられたりしたら話はかわるが
そのときはもういちどやり直すことができるだろう。
なんも怖くないし、能力を使うことにもためらいはない。これも含めて今の俺としているからである。
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結局俺はボールを下に落とす事なくゴール地点に到達し、その後10分とかからず最後の列の奴らの試験も終了。
結果は以下の通りで、81人中/57人。
1列目 9名
2列目 15名
3列目 17名
4列目 16名
次の試験は50m走をするらしい。しっかりとわかりやすくて助かると思ったのは、転ぶとか以外ほとんど実力のまんまが表れると思ったからだ。
(次こそは目立ってやる!!)
この試験では難しかったが、次はやれると息巻く俺は静かに闘志を燃やしつつ次の試験に備える_。