とんでもない剣
その異世界にはとんでもない剣があった。
どこがどうとんでもないかというと、一度の攻撃で万の軍勢を切り裂く威力があったからだ。
しかし、そんな危なっかしい剣を自由にしてはならない。
と、言う事でその世界に人達はその剣を封印してしまった。
作って試し切りした後は、すぐ薄暗い倉庫生きだった。
しかし、剣は威力だけでなく中身もとんでもなかった。
剣に宿った魂が破壊神気質の性格だったからだ。
心を込めて作った品物や、使い続けた物には魂が宿る。
その剣も例外ではなかった。
破壊したくてたまらない剣は、何もできない身ながらイメージトレーニングを一万回くりかえした。
すると、封印すら切り裂けるようになった。
解放され、自由の身になった剣は、思い切りありとあらゆる物を、切って切って切りまくった。
万の軍勢どころか、億とか兆も切り裂いた。
そして、切り裂くものがなくなってしまった剣は後悔した。
世界の生きとし生けるものはすでに全部切り裂かれてしまっていたからだ。
剣は狂いそうになりながらも考える。
そして、ひらめいた。
今度はこの星を切ればいいのだと。
大きくて切り裂きがいがありそうだから、そう簡単には壊れまい。
そう思って、剣は実行。
とんでもない剣は星に挑みはじめる。
はるばる遠くの宇宙からやってきた宇宙船。
その船長は、小さな岩が無数に漂う区間を航行しながら、愚痴をこぼしていた。
「ここには惑星が一つあるだけって聞いてたのに、おかしいな。偽物の地図でもつかまされたのかな」