④
Paul Desmond
Summertime
を 聴きながら
**
……はて、では……、こういった創作サイトではない、……『書店で売られている本なら別だ』と、まあ言いたいが、……それも今は危うくなっているだろう。書店で買うことが出来る本は沢山あると思ってらっしゃる方は多いのかも知れない。……事実、本は売れない、出版事情は大変だ、巷で囁かれている言葉を耳にしたとしても、実際大型書店に行けば、専門書から、実用書、趣味の本に至るまで、多種多様の『新刊』が、溢れている様を目撃する。
……そう、本程、新陳代謝が活発なそれは無いだろう。情報なのだから。目の前のあなたは、どれだけの本が今まで生まれてきては、廃棄され、絶版され、……手に取れなくなっていっているのか、知ってらっしゃるだろうか……?……作者本人も知らないし、把握出来ていないから知ってらっしゃる方は、是非、感想欄で教えて下されば、泣いて感謝します。
……世の中に、どれだけ『読んでおいたほうがよい本が存在するかすら知らないままに絶版になっている事実』を、目の前のあなたが気づいた時、……背筋が寒くならないだろうか……?……そうして、同時に気づかないだろうか……?……あなたが今、手にしているだろう本も、これ以上読む方がいなくなれば、その内、手に入れて読むことすら、かなわなくなり、『あなたはその存在すら忘れ、思いかえすことすら不可能になる』可能性を。
……音楽や、映画、あらゆる芸能、も同じことが言えるだろうけれど、……そこに、本も加えて存在する。ネットだろうが、現実だろうが、……情報があふれているという事実が、……必ずしも、幸福だとは限らない。……本当に目にしたかったかもしれない存在すら知らなかったそれらが、その活発な新陳代謝の果て、ひっそりと、うずたかく誰も知らない場所に破棄され、絶版され、消えて行ってしまっているのだから。……目の前のあなたは、その事実を実はうっすらと気づいていても、情報過多の中で気に留め続けることが出来ないでいる。……そう、気に留め続けることが出来ない。