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5過去からの絆

ジェインお姉様の部屋はだいぶシンプルな部屋だ。

レース類は一切なく、花などの飾りもない。


メイドがお茶を持ってきたあと、


「あとは私がするから下がっていいわよ、呼ぶまで来ないでね。」

と人払いするジェインお姉様。


入れてもらったお茶は沈静作用のあるカモミールティー、とにかく落ち着いて話を聞きたい。

一息ついたところで、ジェインお姉様が話し出した。


「エリザベスは私が前世の記憶を持っているのを知っているわよね。

実はね、記憶がよみがえったのは私が10歳の時、エリザベスがお母様のお腹に宿った時なのよ。


簡単に言うわね。


私の前世は男の子で12歳で死んでしまったの。

交通事故っていう、馬車よりずっと早い乗り物に私と母さん父さんが乗っていて、そこに酔っ払いのトラックが突っ込んできたの。


私と父さんは即死。母さんは重傷だったらしいけど、生きていてね。

結局は、事故から10年後に病死したの。

私と父さんは同じ年にこの世界に転生して、母さんは10年後に転生できたのよ。


それでね。前世の私の父親ってのがレイノルドって事なんだけど・・・大丈夫?話ついてきてる?」


レイノルド様とジェインお姉様が前世で親子だった・・・


信じられない話なんだろうけど、以前からジェインお姉様の転生話は聞いてたし信じてきたし、そうなのかぁとしか思えない。


慎重にうなずいたところで、レイノルド様が口を開いた。


「続きは私が話そう。前世の事を思い出した後、私は息子と妻の生まれ変わりを探すことを人生の目標にした。


子供の頃は大人に頼んで、学生時代は留学して隣国まで探したんだが、名前も顔も変わっているんだから途方に暮れてしまってね。


妻がどんな姿になっていようとも必ず探し出して愛する自信はあったんだが、いつ会えるのかと思うと気が狂いそうだった。


18歳のころにはさすがに焦燥していたよ。


そんな時、とある教会で隠れて善意行為をしている魔術師がいるらしく、失せものを見つけるのがたいそう上手いと聞いてね。


魔術で失せものがわかるなら私の探し人も見つけられるのではないかと接触したら、ジェインの恋人で、結婚できそうにないと嘆いているではないか。


さらに、その魔術師は会ってみたら。バカがつくくらいのお人好しで「ちょっとリンデル様の悪口は言わないで!!」」


ジェインお姉様がかぶせてきた。


「ほんとの事・・わっわかった。 ガンをつけるな・・・ヤクザかお前は・・・


まぁ、優しい魔導士のおかげで、妻の生まれ変わりが見つかったはいいが、まだ子供だということでアプローチをするのはためらわれた。

やはり、私を愛してもらって相思相愛の結婚をしたいからね。


なので、その姉のジェインと婚約し、屋敷に訪問する権利を得ながら私の事を知ってもらおうとしたわけだ。


ジェインとリンデルからしたら、リンデルが貴族ではないゆえ、二人の仲は認めてもらえないうえジェインの年齢的には婚約者を決めなければならないので焦っていた。

リンデルが王から爵位を賜り、スターレイ伯爵に認められるぐらいの男になるまでの時間稼ぎとして私が適任だったのだよ。


実際、リンデルは優秀な男だから、次々と魔物を討伐し王制の危機を回避したことにより、男爵位を賜れるところまできている。


私も前世の父親としてはジェインに望んだ相手と結婚させてやりたいしね。

3人の利害が一致したというわけだ。


わかってくれるかい、エリザベス。」


レイノルド様に確認されて私は話をまとめようとする。


「えっと、レイノルド様とジェインお姉様は前世で親子で、ジェインお姉様はリンデル様と結婚したくて、レイノルド様は前世の妻を見つけたって事ですね。あれっあれれれれ???

ということは、レイノルド様とジェインお姉様は結婚しないんですか?」


「そう!!」


といってずいっと私の前に進み出て片膝をつくレイノルド様。


「遠まわしは君には伝わらないからはっきり言うよ。

エリザベス・・・君は前世では私の妻、舞花(まいか)だったんだよ。


私が結婚したいのは前世でも今世でもただ一人、君だけだ・・・

今度こそ寿命が尽きるまで一緒にいよう。


結婚しよう!!!!ってか絶対結婚しようね!(決定事項)」






◇◇◇◇◇◇

【ジェインの視点】



あ~あ、エリザベスってば目を丸くして真っ赤になっちゃって・・・

ずーっとレイノルドが好きだったみたいだし、良かったね。


と思ったら、


「しばらく、考えさせてください。」


だって・・・えぇぇぇなんでぇ?母さんならいざ知らず、エリザベスは素直な性格だからきっと喜ぶと思ったんだけど・・・えっなんで私を睨む?怒ってる??

今まで内緒にしてたから?


あぁあ、だから言わんこっちゃない、ちゃんと手順踏んで思い出してからの方が良かったのよ~。


母さんは怒るとめっっちゃ怖いし、エリザベスは普段温厚な分怒ると長引くのよね。


とりあえずレイノルドが帰ったら、エリザベスの好物と泣き落としのダブルテクで許してもらおう・・・


「んで、レイノルド・・・片膝付いたまま固まってるけどエリザベスはもう自分の部屋に戻ったよ。

もう、帰ってくれる?

ってか完全に脇役扱いだけど、あなた本当に主役のお相手役?

せっかく神様が母さんのドンピシャタイプの顔に生まれ変わらせてくれたのに、大事なプロポーズで失敗って

とんだヘタレじゃない?


  睨むなよ・・・その美形な顔で睨まれるとマジ怖いから。」


「何故だ〜何故なんだあぁぁぁ!!

私の顔を見れば赤くなるし、こっそりチラチラ私の顔を盗み見るし手を握れば振りほどかないし、勝算はあると確信していた。


やっぱり、あれか?エリザベスに思いを伝えられないもどかしさで、ジェインの名前を出して嫉妬させたり、気持ちキツメのトレーニングで苦しみに悶える可愛い表情を楽しんだり、さりげなく色々な個所を触って、襲いたくなるのを我慢したり、そんなちょっとした悪戯がばれていたのか・・・」


「レイノルド・・・それ完全にアウトだから・・・。」


「アウト寄りのセーフだろう。」

と縋りつくような瞳で訴えるレイノルドに


「アウト寄りのアウトだね。」

と容赦ない言葉で引導を渡してやった。


我が家の天使(エリザベス)を怒らせた罰だ。


さて、エリザベスはこの分だとディナーも出てこないでしょうし、軽食を部屋でとれるように手配しなくては。


これからの事もじっくり考えなきゃならないな。夜抜け出してリンデルに相談しよう。


そんな算段を付けながら落ち込んでるレイノルドにウイスキーを注いであげた。

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