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静かなる内戦8~ニジェ
『ニジェ、バオバブの実を一つくれ。』
『はい』
ニジェは背負っていた背負籠をおろした。
『あのぅ、ドンゴ様。籠の上は石ばかりで、、、、ちょっとお待ちください』
中からは握り拳大の投石用の石がゴロゴロと出てきた。
それを一つ一つ取り出していくと籠の底からバオバブの実が顔を出した。
『あれッ、実がみな潰れております。』
『ひとつ、かしてみろ。』
ニジェはドンゴに手渡した。
『おー、丁度いい感じに熟しておるわ。』
ドンゴは、かぶりつくと、皮だけぺぺと吐き出した。
『ドンゴ,そろそろ行くぞ。』
パプがそう言うと
『帰りもこの池に寄ろうぞ』とドンゴが言った。
『そうだな、またこのうまい水を飲みたい。』
『ニジェ、川まで戻ったら何か目印を置いておけ。池の入り口をわかるようにして置くんだ。』
『では、この石をいくつか、、』
ニジェは石を籠に戻しながらそう言った。
『荷物を軽くする気だな』
ドンゴはまた笑った。
『二つ三つ変わらん』
ニジェはドンゴに聞こえぬ声で呟いた。
三人はまた川べりに向かって歩きだした。
林を抜け川伝いに戻って来ると、暑い日差しが照りつけていた。