静かなる内戦7~ニジェ
川の両岸は一歩踏み入れば、うっそうとしたジャングルだ。
川べりには人の高さにも及ぶシダが覆いかぶさる。その川沿いを膝の辺りまで浸かりながら、ゆっくりと進む。川は湖面のようにゆったりと流れている。
最初の夜があけた。
川辺から林をのぞき込むと、木々の合間からキラキラした光が木の葉を揺らしていた。
それは日中でも暗い密林の中にあって輝くような光だった。
『なんだ、この光。』
『葉についた夜露が、日で光ってるだけのことではないか』
『いや、この辺りだけが光っておる。夜露にしては強い光だ。』
『確かに、、、少し中に入ってみるか?』
『ああ、行ってみよう』
『ほら!ニジェ!先にゆけ』
三人は少し川沿いを逸れ、林の中に足を踏み入れた。
ニジェは生い茂る草木を湿った大地に踏みつけるように進んでいった。
すでに三人の両足には何匹ものヒルが食らいついていたが、そのヒルがパラパラと落ちてゆくくらいうっそうとした茂みだった。
ニジェは後ろから来る二人に道を開きながら、その光の方角に向かった。
『光がドンドン強くなるな』
『ああ』
『池だ!』
目の前に現れたそれは直径30メートルほどの池だった。
『そうか、この池が朝の日に反射して木々を光らせておったんじゃな。』
『なんだ。そんなことだったか。』
パプがニジェの前を通り越し、池の畔まで進んだ。
『おぉ、なんと綺麗な池じゃ。底まで透き通っておる。』
『どこかで湧いておるんじゃないか?
魚は?』
『小魚が少しおるようだ。』
『おい、ニジェ。飲んでみろ』
『はい』
ニジェは両手で水をすくった。
『ほうぅぅ!冷たい!』
喉が渇いていたニジェは、瞬く間に三回ほどすくって飲み干した。
『うめえや!』
『では、わしらも』
『うまい!こんな水を飲んだのは初めてじゃ!』
『わしらは濁った水しか飲んだことがないからの。』
ドンゴは水面に直接顔をつけて、お腹が膨らむほど飲んだ。