火蓋の上下 5~カジュの宴
『これは美味い‼』
『ラングドックのワインに引けを取らない‼』
『こんなもんを造っておったのか、持って帰ればジルベール将軍は喜ばれるであろうな!』
『しかし、山ほどある。皆、呑もうぞ‼ 』
『この先、ジョラに入ればまだまだあるだろうからな!』
『バスチア中尉もおらんし、大丈夫だ!』
『退屈でしょうがなかったんだ、いいだろ!呑め‼ 呑めえ‼ 』
フランス軍はさっきまでの大雨さながらに、滝を浴びる様に口に運んだ。
『で、この先ジョラはいると思うかい?』
『なんだってぇ? 今はそんな事どうでもいいわい! おい! これにもう一杯注げ!』
ドクどくドク,,,,
『そうだな、今はそんな事どうでもいいなっ! おい!俺にもつげ‼ 』
『真昼の宴じゃ‼』
ディオマンシの土壁の宮殿はフランス軍補給食糧部隊60人の宴の宮に変わった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『着きましたぞ。』
3艘の船は、支流に乗り、ゆっくりと岸辺に上がった。
『おれにとっては第二の故郷だ。数年ぶりとはいえ懐かしい。』
『ここからは、わかりますか? ニジェ様。』
『わかる、わかる。おれは一人でこの村を探索してたからなっ。』
『わしもわかるぞ、ニジェ様。』
アクラがそう言うと、
『アクラ殿、ここからは行軍でありますゆえ、しばしどこかでお休みを。乾燥地帯とはいえ、昨夜はこの辺りも雨が降ったよう。足元も悪い。』
ガーラが気遣った。
『それでは少し休ませてもらおうか?』
『ここから一番近い家でお休みください。人を付けます。この村にはもう誰もおりませんから。』
『して、お前らはどこに行く?』
『この大人数です。フランス軍を返り討ちにするまでは、、』
『するまでは?』
『ディオマンシの旧宮殿で寝泊まりさせていただきます。』
『うん、それしかない。』
ニジェはガーラの言葉に応えた。
『場所はお分かりになられますね? ニジェ様。』
『もちろん!ここから先はまだ長いが、道はわかる。』
『お任せ致しました。』
ガーラとアクラはニコと笑った。




