静かなる内戦59~全ての始まり
『食糧班30と補給班30はここに残れ。後追いの食糧班が数日遅れで来るはずだ。予定外の距離になってしまったからな。確実に。受け渡しが終わったら、俺らの跡を追え。』
『中尉殿。どこをどのように行けばよろしいでしょうか?』
『俺は、あの小高い東の山の向こうとみとる。そこを行く。もしサラに何かあれば報の兵をここに送る。』
『わかりました!』
『それでだ、お前らの当分のねぐらとしてジョラの宮殿を使え。広いし、何しろ強い造りだ。』
『誰もおらない様ですし自由に使わせて頂きます!』
『気を緩めるでない!! いつ何事が起こるかわからん。油断はするな! それとだ、お前ら補給を待っている間、この村中を家探し(やさがし)しておけ。何か目ぼしい物でも見つかるかもしれんしな。』
兵はニコと笑った。
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『ファル、ちょっと待って!』
そう言ったのは、ハラの弟のドルンであった。ファルより一つ年上のドルンは頭は切れるが大人しい性格であった。
『どうした?』
『お腹を壊したみたいだ。イテテテテッ』
ドルンは苦しそうに、お腹を押さえた。
『歩けるか?』
『イテテテ、、』
『なにか、その辺りの雑草でも口にいれたか? あと一日だぞ。』
『無理だ、少し休ませてくれ。』
『付いてようか?』
『いや、大丈夫だ。先に行っててくれ。川沿いを下ればいいだけだろ?』
『そうだけど、、じゃあ少し休んだら来なよ。先に行ってる。ハラは先を行ってるから後で伝えておく。』
『頼む。すぐ治ると思うから。』
『獣に襲われぬように。気をつけて。』
ファルはそう言うと、ドルンを度々振り返りながら列を追った。
大きく西に曲がった川の流れでドルンの姿はファル達から見えなくなった。
フランス軍とドルンの予兆を残し、次回第二幕に入ります。
ジワジワ、バタバタと最初の山場を向かえます。
拙い小説ですが、読んで頂き誠にありがとうございます。感謝です。童晶




